SF6(六フッ化硫黄)ガスは、優れた絶縁性能を持つ気体で、人体に対し安全でかつ安定しているという特徴を持っているため、現在ではガス遮断器やガス絶縁開閉装置をはじめとする電気機器に広く用いられており、電力の安定供給に不可欠なものとなっています。しかし、近年、温室効果の高いガスであることが指摘され、昨年のCOP3では京都議定書の対象ガスにも加えられました。
電気事業者としては、COP3以前から排出抑制のための自主的な研究を進めるとともに対応策の検討を行ってまいりましたが、このたび、電気事業におけるSF6排出抑制に関する自主行動計画を策定しました。
なお、この自主行動計画は既に通商産業大臣へ提出しました。また、4月27日の第4回化学品審議会地球温暖化防止対策部会においては、本自主行動計画を踏まえて、温室効果ガスに係わる対
策について審議される予定となっています。
計画の概要
1.電気事業におけるSF6ガスの使用量と排出量の現状(1990年〜1995年)
○購入量 :年間400〜500t程度。
○累計保有ガス量 :6000t程度
○自然排出(漏洩)量 :年間数t程度(パッキン等から、漏洩率は0.1%以下)
○点検時排出(漏洩)量:年間50t程度(12年以内に1回の保安点検時の回収率は60%程度)
○機器撤去時排出量 :年間10t程度
2.SF6ガス排出抑制に向けた取り組み
SF6ガスに代わる有効な絶縁ガスがこれまで見つかっていないことから、今後とも継続的に使用
していく必要があります。したがって、SF6ガスの大気中への排出抑制を図るため次のような取り 組
みを行ってまいります。
@ 機器点検・撤去時の排出抑制対策として、回収技術の充実、点検内容・周期の見直し等を行い
ます。
A ガス再利用システム確立のため、関係業界と共同で再利用基準を定めました。
B ガス管理体制強化のため、SF6ガス管理台帳の整備を行いました。
3.SF6ガスの排出抑制目標
○ 点検時において、作業停電時間の制約とガス回収能力を考慮し、排出量の割合を2000年に
10%程度、2005年には3%程度にまで抑制します(現状は40%程度)。 また、機器撤去時に
おいては、2005年に排出量の割合をガス回収能力の限界である1%程度にまで抑制します。
参考:SF6ガスとは
○ SF6ガス(6フッ化硫黄)は、化学的に安定した、無毒・無臭なガスで、空気の約3倍の絶縁性
能 と約100倍の消弧能力(電流を遮断する際に発生する高温のアーク(火花)を消す能力)という
優れた電気特性を持っています。
○ 1940年代から電気機器への適用が研究されはじめ、機器を軽量・コンパクトにできること等の
理由から、ガス遮断器やガス絶縁開閉装置(電気が流れる部分や、電気を入切する部分をSF6
ガスを封入した容器の中に密閉したもの)をはじめとする電気機器に広く使用されていますが、こ
れまでSF6に代わる有効な絶縁ガスは発見・開発されていません。
絶縁ガスとしての用途以外では、半導体のエッチング・クリーニング等に使用されています。
○ 一方で、SF6は、大気寿命が3200年と長く、赤外線を吸収して熱を 外に逃がさない性質があ り、近年、温室効果の高いガスであることが確認されています。 97年12月の地球温暖化防止京 都会議(COP3)では、温室効果ガス排出削減目標の対象ガスの一つとして加えられました。 な お、オゾン層の破壊には無関係です。