資 料1-2
2004年3月9日
Union of the Electricity Industry
(EURELECTRIC:欧州電気事業者連盟)、
Edison Electric Institute(EEI:エジソン電気協会)
および電気事業連合会による共同声明文
 
世界の経済大国の大部分を代表し、世界で生産される電気の過半に責任を負っている、欧州電気事業者連盟(EURELECTRIC)、エジソン電気協会(EEI)、及び電気事業連合会の首脳が、3月7日から3月9日にカリフォルニア州ロサンゼルスにおいて会合した。これは、三極首脳会議の第7回会合にあたる。この会合には、カナダ電気協会、オーストラリア電気協会も参加した。

会議では、電力システムの信頼度、市場の発展と規制、エネルギー政策、環境と持続的成長、投資家の信頼及び社会への説明責任等、エネルギー産業に関連する重要課題について議論を深めた。これを踏まえて、三極は以下の点を確認した。
 
電力市場政策の重要課題としての電力の安定供給

2003年に欧米諸国に影響を及ぼした大規模停電の発生を踏まえて、我々は、全ての顧客に対して、信頼度が高く持続的で、適正な価格の電力を供給し続けることが、極めて重要であることを再確認した。短期的には、電力の信頼度を確保するために、全ての市場参加者に適用される、実効性のある信頼度基準が必要である。さらに、長期的に信頼度を維持するためには、発電および送電設備に係る新たな投資および両者のタイムリーな建設が不可欠である。しかしながら、我々は、新たな送電設備の立地・建設の難しさを懸念するところである。新規送電設備は、電力需要の増加に合わせて作らねばならないが、電力市場における競争の激化によっても、送電設備の利用が一層増加する状況にある。このため、現在の政府の電力市場政策は、安定した電力供給の必要性と整合が取れたものとなるべきと考えている。
 
将来に向けたあらゆる電源の利用可能性の確保

 

また、信頼度が高く持続的で、かつ適正な価格で電力供給を行うためには、責任ある供給者にとって、電源の多様化を図ることが不可欠である。即ち、各国の経済社会を支える電力の供給のために、様々な電源を開発・利用できることが、信頼度の高い電力システムの確保に向けて極めて重要である。従って、我々は、環境問題に配慮しながら、水力その他の再生可能エネルギー、化石燃料の効率的な利用などを含めた電源多様化を進めていく。また、原子力は、安定したエネルギー供給に寄与することに加えて、CO2排出量の大幅削減に向けた最も有力な選択肢であり、我々はその必要性について特別な留意を払うところである。政府は、長期にわたって電力供給の信頼度を維持していくために、燃料の多様化を重視した政策を進める必要があると考えている。

また、各国の規制当局及び政策立案者は、投資を促進するために、全ての責任ある供給者及び市場参加者による公正な競争を前提として、効果的な政策と制度的なインセンティブを提供することが極めて重要であることを認識すべきである。さらに、政策立案者は、それぞれの地域における電力の安定供給に向けて、環境に配慮しつつ、多様なエネルギー源の経済的かつ長期的な利用可能性を確保するための、均衡の取れた枠組みを構築しなければならない。

このために、我々は、引き続き各々の電力市場の構造改革における経験・知見を相互に交換し、誤った市場設計や、長期的な投資インセンティブを欠くエネルギー政策により、お客さまの利益が損なわれることがないよう、規制当局及び政策立案者に働きかけていくなど必要な活動を行う。

 
温暖化対策の着実な推進

地球温暖化問題は、長期的かつ地球規模で取り組むべき課題であり、我々が引き続き相互理解のもとに問題解決に向けた取り組みに協力していくことが重要である。特に、我々は次のように考える。

温室効果ガスの排出を低減し、又は回避するため、自主的な取り組みが、迅速性、柔軟性、実効性の点で、競争市場における地球温暖化対策の効率的な柱となる。
一般的に、市場原理に基づくアプローチが環境目的のより有効な解決策となり得る。
気候変動問題への取り組みは、持続可能な成長のために極めて重要である。電気事業者は、発電(特に、水力その他の再生可能エネルギー、原子力、化石燃料の効率的な利用を適切に組み合わせることによって)と消費(特に、より効率的な最終消費技術を開発することによって)の両面で温室効果ガスを削減する責任がある。
発展途上国においては、一次エネルギーの適切な組み合わせと効率的な技術に基づいたさらなる電化を進めることが、より効果的な地球規模での温室効果ガス削減に結びつくと考えている。
電気事業者は、このような効率的な技術を広める立場にあり、目標達成のために、さらなる研究開発と技術革新を行っていく。また、気候変動枠組条約(共同で行われる諸活動)及び国際的排出権取引、共同実施とクリーン開発メカニズム等の市場メカニズムは、途上国等への技術移転の促進に役立つ有効な手段であると考えている。
電気事業者は、気候変動対策を地球規模で進めるために、全ての国が参加できる新たな枠組みが必要と考え、我々はこの目標に向けた提案を発展させるため共に取り組んでいく。
 
最後に、我々は、将来にわたる、信頼度が高く持続的で適正な価格による電力供給を大きく左右するような重要な課題について、社会や政府の理解浸透を図るために、リーダーシップを発揮する必要があることを確認した。


以上