緊急設置電源 東京電力袖ケ浦火力発電所

vol.01

東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故、火力発電所の被災で、東京電力はかつて経験したことのない供給力不足に陥りました。地震発生を境に失った供給力は約4割。まさに非常事態です。不測の大規模停電を防ぐため、事故直後は計画停電の実施を余儀なくされました。苦渋の決断でした。

電力消費がピークを迎える夏場に向けて、東京電力は被災した発電所の復旧を急ぐとともに、緊急設置電源(短期間で設置できるガスタービンやガスエンジンなど)の確保に奔走しました。メーカーや商社の協力を得ながら世界中からかき集めたのです。

この夏までに7カ所の火力発電所で、約170万キロワットの緊急設置電源を調達しました。袖ケ浦火力発電所(千葉県袖ケ浦市)のガスエンジンはその一つです。英国の企業からリースを受け、アラブ首長国連邦(UAE)やオランダから設備を運んで来ました。
何としても夏場に間に合わせる。発電所では休日返上で工事を進め、102台ものガスエンジンの設置を完了したのは工事開始からおよそ2カ月後の7月12日でした。

海外から調達してまで、供給力の確保に努めたのは「計画停電は絶対に避ける」との思いからです。皆さまの節電のご協力のおかげもあり、この夏の電力危機を乗り越えられそうです。