原子の構造と核分裂

物質はすべて、原子核とそれを取りまく電子によって成り立っています。
この原子核が2つ以上の原子核に分裂することを、「核分裂」と呼んでいます。

原子の構造

天然に存在する物質はすべて元素(原子)からできており、天然にある元素は92種類です。

原子核は陽子と中性子から構成されており、周りの電子の数と陽子の数は同じです。原子には陽子の数に合わせて原子番号がつけられています。たとえば、水素の原子核には陽子が1個しかないので原子番号は1です。ふつうの水素原子の原子核は陽子1個だけで構成されていますが、このほかに陽子1個と中性子1個で原子核が構成されている水素もあります。これを重水素といいます。

日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集

ウランは原子核に92個の陽子をもっているので原子番号は92です。しかし、中性子を142個もつものと143、146個もつものが天然に存在します。 143個もつウランは、「ウラン235」、146個もつウランが「ウラン238」です。このように陽子の数が同じで、中性子の数の異なるものを同位元素(アイソトープ)といいます。

核分裂のしくみ

核分裂はさまざまな原子核で起こりますが、特に核分裂が起こりやすい物質として「ウラン」があります。このウランにも核分裂を起こしやすい「ウラン235」と、核分裂を起こしにくい「ウラン238」があります。
自然界に多いのは核分裂しにくいウラン238です。天然ウランには、核分裂するウラン235は0.7%しか含まれていません。原子力発電では、ウラン235の含有量を3〜5%に高めたものを燃料として使います。

ウラン235の原子核に中性子を当てると、ウラン原子は2つの原子核に分かれます。このとき大量の熱が発生するため、これを発電用熱源として利用し、水を蒸気に変えて蒸気タービンを回転させて発電機で電力を起こします。ウラン235に中性子を当てると、核分裂が起こると同時に、新たに2〜3個の中性子が発生します。この中性子をさらに別のウラン235に当てると、核分裂が起きてさらに2〜3個の中性子が発生します。

こうした反応がゆっくりと連続的に行われるように工夫したのが、原子炉です。核分裂が起きるときには膨大な熱エネルギーが生じます。この熱を利用したものが、原子力発電です。

核分裂によって放出される中性子はそのスピードが速すぎるため、次の核分裂を起こすには中性子の速度を落とす減速材が必要です。減速材としては軽水(真水)、重水、黒鉛などがあります。日本の原子力発電所は軽水を使っています。

「ウラン燃料が炉内で核分裂を起こす」ことを「ウランが燃える」ということがあります。実際にウランに火がついて燃え上がるのではなく、ウランが核分裂を繰り返し、核分裂生成物ができていく状態を例えたものです。

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