1. エネルギー政策動向

エネルギー資源が豊富な国:化石燃料を中心としたエネルギー構造、脱化石燃料が課題

中国はエネルギー資源に恵まれており、特に石炭の確認埋蔵量は約1.48兆トン(2013末時点)と世界有数の規模である。石炭の年間生産量、消費量ともに世界一で、全世界の半分以上を占めている。石炭埋蔵量の8割は西部と北部地域に集中しており、発電用などに使われる一般炭の主要産地である山西省や内蒙古自治区などで採れる石炭は、主に華東区域と華中区域、および広東省地区の発電所に供給されている。一方、石油と天然ガス資源の多くは、東北、中部、西部地域と海域に賦存している。その他、再生可能エネルギー資源は沿海部の需要地から一番遠い西部の新疆自治区、北部の内蒙古自治区周辺、および東北地域に大量に賦存している。また、水力は四川省や、貴州省など中部か西南部が豊富である。

エネルギー・電力消費量は世界一、エネルギー構造改革を推進

近年の経済発展により、中国のエネルギー消費量は驚異的な伸びを示してきた。一時、国内炭の価格高騰により輸入炭が増えていたが、2014年以降、経済成長の鈍化に伴い、国内炭は生産量が減少し、価格も下落、輸入炭も減少している。2016年の一次エネルギー消費量は中国標準炭換算(1kg = 7,000kcal)で43.6億トンと世界一であった。政府は、エネルギー確保や雇用維持の観点から石炭を中心とする構造を維持しながら、中長期的に石炭の比率を低下させ、産業の構造転換や環境問題の解決を目標として掲げている。

電力についても、2016年の年間消費電力量は5.97兆kWhで世界一となっている。発電の中心は火力で、全発電設備容量16.5億kW(2016年末時点)のうち火力は10.61億kWで、全体の64.3%を占め、またそのほとんどが石炭火力である。

石炭火力発電の高効率化、クリーン化へ取り組み強化

火力発電に加えて、重工業の発展、自動車の普及、都市化の進展に伴って、中国では大気汚染や水質汚染などの公害が深刻化している。

これら環境問題に加えて地球温暖化にも対処するため、政府は「国民経済・社会発展第十三次5カ年計画」※(2016~2020年)でも環境対策の強化を目指している。これを受けて公布された「エネルギー発展第十三次5カ年計画」(2016~2020年)では、石炭・石油開発、シェールガス開発を推進するとともに、再エネ、環境負荷の低い石炭火力発電所、ガス火力発電所の開発などが盛り込まれている。「石炭火力発電高効率化・排出削減向上改造行動計画(2014-2020)」(2014年9月)では、東部地区において石炭火力の新設を原則禁止すること、新設ユニットの発電効率を1kWhあたり300g(標準炭換算)以上とすること、および既設発電所の汚染物質排出量にも、新規制に適合した設備改造を要求している。これに対応できない既設の発電所は、2020年までに強制的に廃止させることが示唆されている。このため、石炭火力発電所の超低排出化改造が合計4.2億kW規模のプラントで実施される計画である。超低排出の目標は、煤塵が10mg/Nm3、SO₂が35mg/Nm3(約12ppm)、NOxが50mg/Nm3(約24ppm)となっており、非常に意欲的な基準となっている。なお、「十三・5」期間前にすでに1.6億kW規模が超低排出の水準となっており、2020年には合わせて5.8億kW、全石炭火力の半分以上を超低排出化対応プラントとする方針である。
※「国民経済・社会発展第○○次5カ年計画」は「5年間における国の運営に関する基本方針を示したもので、開始年の3月に開催される全国人民代表大会(日本の国会に相当)で承認される。略して、第○○次5カ年計画」と呼ばれる。
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