5.原子力開発の動向

フランスの原子力政策の背景・特徴

フランスは日本同様、1970年代の石油危機を契機として原子力発電の大規模開発にまい進した。この背景には、自国に化石燃料などのエネルギー資源が乏しかったことに加え、フランスの地政学的な理由として、当時は、①豊富に石油・天然ガスなどを産出する北海油田に権益を有する英国、②石炭資源の豊富なドイツに囲まれた環境下での欧州における主導権争いの中で、基軸となるエネルギー源の確保を目的として原子力発電を導入したという事情がある。また、政治的な側面では、ブルボン朝以来の強力な中央集権体制に加え、強大な大統領権限などから迅速な政策の実行が可能であったことが挙げられる。経済政策面では、当時の政府が計画経済手法を取り入れ、エネルギー産業など国家関与の強い分野については「エネルギー計画」を策定し、長期的な観点からの政策決定・実行が可能であったことも理由の一つと考えられる。原子力に対する国民世論の面では、フランスは第二次世界大戦前から原子力の研究・開発の歴史を有し、大戦後は自前の核を保有するという国防の観点から米国、旧ソ連に次いで原子力開発を行ってきたという経緯がある。

欧州加圧水炉(EPR)の建設

フランスでは、1986年のチェルノブイリ事故による原子力開発への影響はなく、むしろ順調な開発によって、原子力による発電が国内供給分を上回るまでになった。そのため、余剰発電分は輸出に回されるとともに、新規建設は1991年以降途絶えることとなった。

しかし、「エネルギー政策動向」の項で述べたように、2005年には将来電源の中心として原子力開発を継続することが決定し、次世代炉としてEPR1基が建設されることになった。サイトは既設炉のあるフラマンビルで、現在その3号機として建設が進められており、2016年には運転開始の予定である。

オランド政権下での原子力政策

「エネルギー政策動向」の項で述べたように、2012年の選挙で就任した社会党のオランド大統領は、原子力比率の低減(2025年までに原子力依存度を現状の75%から50%に低減)、最も古いフェッセンハイム原子力発電所の閉鎖を掲げている。

しかし、フランマンビル3号機の建設継続、原子燃料サイクルの維持、原子炉の輸出推進など従来の原子力政策は変更されていない。実際、フランスの原子力産業は40万人の雇用を抱える一大産業で、その変更は雇用に大きな影響を与える。「再エネ開発動向」で述べたように、フランスでも今後、再エネ電源が増加してゆくにつれて、原子力比率が低下することが予想される。しかし、ドイツなどでの脱原子力とは異なり、フランスで原子力発電比率が低下したとしても、それは電源多様化の一環と考えられる。また、原子力比率の低減には、産業競争力の低下をもたらす恐れがあるとして産業界から強い反対意見が出ている。

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