6. 電気事業体制

電力自由化で電気事業再編:発電と送電は所有分離に

ドイツでは電力自由化を契機に電気事業体制が大きく変わった。かつてドイツには電気事業の中心的役割を担う8大電力会社が存在し、国内総発電電力量の約90%を独占的に供給してきた。また、この8社とは別に地方公営の小規模な配電会社等、約1,000社の電力会社が存在した。

この8社による独占体制は、自由化によって電力会社間で激しい競争が行われるようになり崩れた。また、競争が激化するに従い、競争力を維持していくため、電力会社同士の合併や提携が盛んに行われた。8大電力会社は、E.ON、 RWE、EnBW、およびVattenfall (スウェーデン・ヴァッテンファル社の子会社)の4グループに収斂された。また、これらの企業は事業規模を拡大するために、海外の電力会社や国内の地方公営配電会社の買収を進めた。さらに、これらの企業はガス事業にも進出し、E.ON、RWEは欧州を代表する大手総合エネルギー会社となった。

これらの大手企業は、従来、発電、送電、配電、小売のすべての電気事業分野を手掛ける垂直統合型企業であったが、EU法や国内法では送電部門、配電部門を子会社化する法的分離を求められるに留まっていた。しかし、欧州委員会からの圧力や債務削減などのため、現在はほとんどの企業が送電子会社を売却している。2010年にはE.ONが送電設備をオランダの送電会社TenneTへ、Vattenfallがベルギーの送電会社Eliaへそれぞれ売却した。RWEは2011年9月に送電子会社の7割の株式をコメルツ銀行グループのコメルツリアル社へ売却し、EnBWのみが送電子会社を保有し続けている。

なお、E.ONは2014年11月、将来的に事業を二分割する再編計画を発表した。同再編計画により、E.ONは2016年1月1日に新会社Uniperを設立、国内の原子力を除く従来型発電、国際エネルギー取引、資源採掘の3事業を移管した。E.ON本体は今後、再エネ、配電、顧客サービス(小売を含む)などの事業に特化するとした。この事業再編の背景には再エネ電源の大量導入、卸電力価格の低下により、同社の業績が悪化していることがあった。他方、RWEは再エネ・配電・小売事業を営む子会社Innogyを2016年に設立し、RWE本体では従来型発電事業を行ってきた。

E.ON、RWE両社は事業再編をさらに進め、2018年3月にはドイツ政府がエネルギー転換を決めた2011年以降で最大の電力再編に繋がる資産交換で合意した。合意内容は、E.ONがRWEの子会社Innogy(再エネ・配電・小売事業を担当)の全株式(76.8%)を取得する一方、RWEはE.ON の全株式のうちの16.67%を取得、その後E.ONがInnogyの再エネ事業も含めE.ONのすべての再エネ事業をRWEに売却するというものである。これにより、E.ONは発電事業を行わず配電・小売に特化する一方、RWEは再エネを含めた発電事業に注力することになる。今回の合意内容はEUおよびドイツの競争当局による審査を経た後、実行に移される。

系統運用:4送電会社が各エリアを制御

所有形態に変化があった送電部門であるが、その運用については以前と変わりなく、全国に4社ある送電会社(Amprion社、50Hertz社、TenneT TSO社、TransnetBW社)が各管轄地域の送電設備を所有・運用している。配電部門は約900社あり、それぞれが管轄する地域で配電設備を所有・運用している。 

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