2. 地球温暖化防止政策動向

京都議定書の目標は未達

イタリアは京都議定書によって1990年比で2008~2012年にGHG排出を6.5%削減することを義務付けられている。しかし、2011年は5.3%減、最終年の2012年は11.4%減となったものの、第1約束期間5年間の平均では削減率は5.4%減に止まり、わずかながら目標に届かなかった。このため、政府はGHG排出量の超過分を国際カーボン市場での排出クレジットの購入などにより相殺する案を2014年4月の閣議で了承した。

一方、今後のGHG削減はEUの枠組みに従い取り組むことになっている。EUは2020年の削減目標として1990年比で20%の数値を掲げ、そのための手段として排出量全体の約40%を占める排出量取引制度の対象となる部門で2005年比21%削減、同60%を占めるその他部門で2005年比10%削減することを加盟国に求めている。これに基づくイタリアの2020年の削減率は2005年比で18%と算出されている。2015年時点でのGHG削減実績としては1990年比17.5%減を達成しており、2017年に公表された前述の国家エネルギー戦略(SEN)では、2030年目標を1990年比で39%減と定めている。

発電部門では、1997年以降、火力発電量増加のほとんどが実質的にコジェネの増加によって達成されている。また発電用燃料としてCO2排出量の少ないガスの利用が増加し、しかも高効率のガスコンバインド設備で燃焼されている。そのため発電部門のCO2原単位は90年代以降大幅に改善されている。1996年から2008年までにガス火力の発電効率は20.1%向上している。ガス火力発電のCO2原単位は1990年の475g/kWhから2012年には375g/kWhへと減少し、また、発電部門全体では、1990年の567 g/kWhから2014年時点で223 g/kWhとなっている。

配電事業者などに省エネを義務付け

一方、電力消費部門では、一定規模以上の配電事業者と配ガス事業者に対して省エネの実施を義務付ける省エネ証書制度を2005年から実施している。この制度では、当局の承認を受けた省エネプロジェクトを実施することによって、省エネ量に見合った省エネ証書が発行される。証書は市場で取引することが可能である。

義務対象事業者は、省エネプロジェクトを自ら実施して省エネ義務量相当の証書を取得するか、あるいは省エネプロジェクトを実施しているエネルギーサービス会社(ESCO)などから市場を通じて必要な証書を購入することで課せられた義務を果たすことができる。

事業者が証書取得のために払った費用は、電力やガスの系統・導管利用料金(託送料金)に上乗せされ、広く電力・ガス利用者から回収されている。

2016年の全国省エネ義務量は、電力部門、ガス部門の合計で石油換算760万トンであるが、これは当局が設定した換算値によると電力量にして406億kWhに相当する。また、2017年4月に発表された新たな省令により、2017年の全国省エネ義務量は714万トン、2018年は832万トン、2019年は971万トン、2020年は1,119万トンとなっている。また、2017年の国家エネルギー戦略(SEN)では、2030年までに達成すべき追加の全国省エネ義務量として、当初提案されていた900万トンから施行時には、1,000万トンへと引き上げられることになった。
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