6.電源開発の動向

火力は地元同意の得やすいガス火力の比重が圧倒的

「エネルギー政策の動向」「原子力開発の動向」の項で述べたように、イタリアは水力を除いてエネルギー資源に乏しいことから、原子力開発も進めてきたが、その原子力開発も2度の国民投票で放棄するに至っている。そのため、イタリアの電源の中心は火力であり、近年は再エネ電源の開発も進んでいる。2012年における発電電力量の43%はガス、16%は石炭、3%は石油、10%はその他燃料、15%は水力、12%は水力以外の再エネ(地熱・風力・太陽光)である。

火力電源ではガス火力が主流である。北部にアルプス山脈が聳え、細長い半島中央をアペニン山脈が南北に走っているイタリアでは発電所建設の適地は限られている。冷却水の確保が可能な海岸地帯では観光事業が盛んであり、さらに地方分権化が進んでいることから、電源立地に対して地元の合意が困難な状況にある。こうしたことから電力自由化以降、新たに建設される火力設備は地元に受け入れられ易いガス火力、なかでもコンバインド・サイクル設備が圧倒的に多い。2002年から2011年までに政府が建設許可を発給した火力発電設備建設計画、約2,200万kW(改造分を含む)のうち、石炭火力計画2件を除き、すべてガス火力が占めている。

一方、石炭火力は最新鋭設備で環境対策が十分になされていても地元の同意が得にくい状況にある。上記2件の石炭火力計画のうち、唯一完成にこぎ着けることができたEnelのトッレ・バルダリーガ・ノルド発電所の場合、国の許可発給にもかかわらず、地元州政府がガス火力への転換を求め、工事中止命令を出すなどして建設が中断し、完成が5年遅れた。同じくEnelのポルト・トッレ石炭火力発電所計画は、CO2分離回収装置の設置が予定されていたにもかかわらず、環境保護団体が訴えた裁判において許認可手続き上の瑕疵を理由に建設許可が取り消され、計画が中断したままとなっている。

イタリアの総発電設備容量は、2000年から2011年までに4,294万kW増加し、1億1,844万kWとなった。内訳は、供給の主力である火力の増加分が2,209万kW(全体の51%)ともっとも多い。次いで風力・太陽光1,392万kW(同45%)、水力139万kW、地熱14万kWとなっている。しかし、2010~2011年の1年間で見ると、設備増加量1,195万kWのうち、87%に当たる1,042万kWを風力・太陽光が占めていることに見られるように、近年は再エネ電源の増加が顕著である。今後も、このガス火力、再エネの開発(「再エネ開発の動向」参照)は継続される見込みである。

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