8.電力自由化の動向

民営化とほぼ同時に電力自由化

イタリアの電気事業は1962年の電力国有化によって誕生した国有電力公社Enelによってほぼ独占的に営まれていたが、Enelは経済的な電源である原子力や大容量火力設備の立地に失敗し、イタリアは高い電気料金水準と電力供給不足のリスクなどの問題に直面することになった。こうしたことから、政府はEnelを含む国有企業の経営の合理化とともに国家財政の赤字を穴埋めすることをも目的として国有企業を民営化する法律を1992年に可決成立させ、同年7月Enelは株式会社に生まれ変わった。なお、Enel株の放出は1999年以降数度にわたって行われ、2012年末現在、国の出資比率は31.23%にまで低下している。

同じ1992年に供給力確保のため、コージェネや再生可能エネルギーを対象とした固定価格買取り制度が導入され、発電事業が部分的にEnel以外に開放された。

その後、EUの電力自由化指令を国内法化した1999年3月のベルサーニ政令に基づいて電力再編と段階的自由化が開始された。

Enelは持ち株会社に移行し、その傘下に①発電、②配電・一般需要家向け電力販売、③自由化需要家向け電力販売、④送電資産管理、⑤原子力発電所解体・原子燃料サイクルバックエンド部門、の事業部門別に分けられた子会社が配置された。このうち、原子力関係部門の子会社(Sogin)は設立と同時に政府に移管された。また、送電資産管理部門は、「電気事業体制」の項で述べたように、その後資産が売却され、現在は別会社となっている。

段階的な市場開放により2007年には全面自由化

イタリアでは、電力市場の自由化は段階的に実施された。供給先を自由に選択できる有資格需要家の要件は、1999年4月の年間電力消費量3,000万kWh以上(市場開放率約30%)から始まって、2000年1月2,000万kWh以上(同約35%)、2002年1月900万kWh以上(同約40%)、2003年4月10万kWh以上(同約60%)と順次拡大され、2007年7月には家庭用需要家を含め、全面的に自由化された。これに合わせて、2008年2月には10万軒以上の接続需要家を抱える配電事業者は、配電部門と小売り部門の分離が義務付けられることになった。

家庭用ではいまだに8割以上に規制料金を適用

全面自由化にもかかわらず、家庭用と小口業務用需要家に関してはEU指令のグローバルサービス規定を準用し、従来通り全国一律の規制料金が維持されている。

規制料金需要家向けの電力の調達はAU(「電気事業体制」の項参照)が担当している。規制料金はEUによる電力調達コストの変化を反映して四半期毎に改正されている。

規制料金需要家は自由化市場を選択した後でも希望すれば再び規制料金に復帰することが認められている。2011年は規制料金が適用されている家庭用需要家の比率は、販売電力量でみると家庭用全体の約8割となっている。

電力供給体制

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