5.原子力開発の動向

世界第4位の原子力発電国

ロシアは核保有国として第二次大戦後、早期から原子力発電開発に着手し、世界初の原子力発電所の運転を手掛けた。原子力発電所は、エネルギー戦略的観点から主に欧ロ地域に建設された。化石燃料生産の中心地がウラル以東のシベリア地域などの開発条件の厳しい地域へ移動するに従い、電力の大消費地である欧ロ地域に化石燃料を輸送する代わりに原子力発電所を建設する方が経済的とされたためである。その結果、2012末現在、10カ所の原子力発電所で原子炉33基が運転中で、設備容量は2,524.2万kW(設備利用率80.9%)と世界第4位の原子力発電国となっている。

ロシアで開発された発電用原子炉は主に加圧水型軽水炉(PWR、ロシアではVVERと呼ばれる)と軽水冷却黒鉛減速炉(LWGR、ロシアではRBMKと呼ばれる)の2炉型であるが、高速増殖炉(FBR、ロシアではBNと呼ばれる)の開発も早期から手がけ、現在も開発が続けられている。加圧水型炉17基(VVER-440が6基、VVER-1000 が11基、計1,359.4万kW)、軽水冷却黒鉛減速炉・大型炉(RBMK -1000)11基(1,100万kW)、軽水冷却黒鉛減速炉・小型炉EGP 4基(4.8万kW)のほか、高速増殖炉 1基(BN-600、60万kW)が運転されている。至近では2012年9月にカリーニン原子力発電所で4号機(VVER-1000、100万kW)が運転開始している。

原子力部門は国有機関ロスアトムが統括

原子力部門は、2007年12月に連邦原子力庁(Rosatom)をもとに設立された国家原子力コーポレーション・ロスアトム(State Atomic Energy Corporation Rosatom)を頂点とする事業体制が確立された。ロスアトムは軍事核部門も含めた原子力部門全般を統括しており、民生原子力部門については、2007年7月に設立された国有持ち株会社「アトムエネルゴプロム社」(Atomenergoprom;AEP)が統括している。AEPの傘下に原子力発電企業ロスエネルゴアトム(Rosenergoatom 、1992年設立、2008年9月株式会社化)や原子燃料会社TVELなどが存在する。こうした事業再編は輸出対応の組織整備の側面もある。

福島事故後も原子力開発推進

2011年3月の福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力発電所の安全評価が国内独自および国際的支援に基づく検証の形で実施された。EU仕様に基づくストレステストは同年7~8月に行われ、その結果、過酷事象に対するロシアの原子力発電所の設計上の防護・耐及性が実証されたとしている。ロスエネルゴアトム社は、この結果を踏まえ、中長期の対応を含む追加安全措置を講じる予定である。

政府は2008年2月に2020年までの電力施設計画を承認するが、直後の金融危機とその後の経済成長見通しを踏まえて、2010年に2030年を展望した電力施設計画を承認した。新計画では、前計画の平均年4%増の電力需要想定が同2%に下方修正され、2020年までの電源開発規模も1億5,170万kWから約8,000万kWに縮小された。原子力設備容量でも前計画の2020年目標(5,320万kW)とほぼ同じ数値が新計画の2030年目標(5,050万kW)に掲げられている。しかし、福島事故後の2011年6月に発表された想定見直しでは、4,343万kWにわずかに下方修正されたにとどまった。福島事故後、新たな安全基準の適用によりクルスク5号機として計画されていたチェルノブイリ型原子炉(RBMK-1000)の建設は中止が決まったものの、全体として開発規模に大きな変更はない。

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