7.電気事業体制

部門別に会社化:発電・供給部門は民営化も実施

ロシアの電気事業は従来、1992年に設立された国有電力持ち株会社のロシア単一電力系統社(RAO EES)を中心とした体制であった。しかし、2001年の政府決定に基づき事業改革が開始され、2008年7月、RAO EESの解散で一段落した。

その間に部門別分離(アンバンドリング)が行われ、送配電・系統運用、水力発電、火力発電および小売供給の各部門に事業会社が設立された。また、RAO EES傘下に入らなかったイルクーツクエネルゴ社等の電気事業者についても、政府方針に沿った再編が行われた。

送電、配電はロシア・グリッド1社に統合

送配電・系統運用部門では、系統運用会社(SO EES)、連邦送電会社(FSK EES)、MRSKホールディング(配電持ち株会社)が政府の管理下に置かれている。SO EES とFSK EESについては株式の100%、79.5%(2012年末現在)を政府がそれぞれ保有している。

ほかに水力発電会社ルスギドロ社や電力輸出入会社インテルRAO EES(インテル社)も政府が過半数株を保有している。また例外的に垂直統合型が維持されている極東地域において電気事業を統括する株式会社・東部電力系統社(RAO ES Vostoka)はルスギドロ社の管理下に移ったが、事実上、政府管理下にある。

配電部門は、設備の老朽化に伴う設備投資需要が高く、業務の効率化が求められていた。このため2012年5月に送電部門と統合する方針が決定され、同7月にMRSKホールディングの管理がFSK EESに移管された。しかし、同年11月に発布された大統領令では、MRSKホールディング社をロスセーチー(ロシア・グリッド)社に改称し、FSK EESを傘下に置く新たな再編の道筋が示され、ロスセーチー社(61.4%政府保有)は2013年4月に再編手続きを完了した。

火力、小売供給部門は民営化

火力発電部門と小売供給部門は民営化された。火力発電部門では大規模火力で構成される卸発電会社(OGK)6社、中小規模火力で構成される広域発電会社(TGK)14社に分割・民営化された。民営化には欧州大手電力会社も参入し、独E.ON がOGK-3、伊Enel がOGK-5、さらにフィンランドFORTUMがTGK-10をそれぞれ取得した。その他のOGK・TGKは国有ガス会社・ガスプロム社などの国内大企業や国有電力会社が取得したため、グループ化が進行し、新たな再編の契機となった。

ガスプロム・エネルゴホールディング社(ガスプロム電力子会社)は2011年11月、コスト削減等の目的で子会社のOGK-2とOGK-6の合併を実施した。OGK-6は消滅し、OGKは5社体制となった。またインテル社も2011年、自社新株との交換により発電会社や小売供給会社を取得し、発電会社を統合する計画(2012年4月に臨時株主総会で承認)を進めている。

一方、小売供給部門は、RAO EESの子会社であった地方電力から分離・設立された小売供給会社を中心に、いわゆるラストリゾートである供給保証事業者(GP)の資格が与えられ、その他の販売会社とは区別されている。GPは供給区域を持ち、区域内の需要家の供給申請に対しては受入義務がある。GPには地方電力由来の事業者のほか、鉄道や産業用に電力を供給していた会社なども指定されている。その他の販売会社は、改革以降に設立された企業が中心で、家庭用供給を除き自由に契約も価格設定もできる。全国にGPが約130社、販売会社が約110社存在する(2011年)。

系統運用

系統運用はSO EESが担当している。全国系統のロシア単一電力系統(EES)は、69地方電力系統(RES)から成り、7統合電力系統(OES;北西、中央、南部、中ボルガ、ウラル、シベリア、東部)に区分されている。SO EESの中央給電指令所、統合給電指令所、地方給電所がそれぞれEES、OES、RESの運用を行っている。2012年末現在、東部を除く6OESが同期連系されている。また隣国のベラルーシ、エストニア、ラトビア、リトアニア、グルジア、アゼルバイジャン、ウクライナ、モンゴルと、さらにカザフスタン経由で中央アジアのウズベキスタン、キルギスとも連系運転されている。

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