8.電力自由化の動向

2003年から全面自由化

1990年代にEU大の電力市場自由化の動きが始まると、EU加盟国の中でも電気料金が比較的高かったスペインは競争力の改善を迫られ、1996年に誕生した国民党政府は市場開放や卸市場の導入などを実施した。

市場開放では、EUの第一次電力自由化指令(1997年制定)で義務付けられている自由化の開始時期よりも1年早い1998年から自由化範囲を段階的に拡大し、2003年1月には家庭用需要家を含めた全面自由化を実施した。

卸市場では、「電気事業体制」の項で述べたように、外国企業によるスペイン企業の買収などの電力再編が行われるとともに、卸電力取引所の創設が実施された。この卸電力取引所では、売り手側として発電会社、電力輸入会社、外資系会社、また買い手側として規制料金市場向け供給会社、小売会社(市場価格で自由市場需要家に電力供給する会社)、電力輸出会社、自由市場需要家が参加し取引を行っている。

自由化後も規制料金を維持

一方、スペインの小売市場は、全面自由化後も、自由市場と並行して規制料金市場が存在することが特徴である。自由市場では、供給者を選択する権利を行使する「自由市場需要家」が、小売会社や卸市場、電力輸入会社から、卸市場価格や相対取引価格で電力を調達している。一方、規制市場では、自由市場への参加を望まない需要家(「規制料金需要家」)が、政府によって規制料金で電力を供給するよう義務付けられた規制料金市場向け供給会社から、規制料金で電力供給を受けている。2011年現在、規制料金市場需要家の比率はそ産業用で10%、また家庭用需要家で78%を占めており、家庭用では依然として規制料金を希望する需要家が多い。

スペインが規制料金を維持する狙いは、自由化などによる料金面での影響が需要家に過度に及ぶことを防止することにある。実際、スペインの電気料金は、輸入ガスに依存する火力発電、さらには高い買取価格による大量の再エネ電源導入コストによってEU加盟国の中でも高い部類に属する。「再生可能エネルギー導入政策・動向」の項で述べたように、政府は料金の高騰を抑制するため、料金への再エネコストの全面的な転嫁を認めておらず、これが電力会社の収支悪化に繋がっている。

電力供給体制

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