2. 気候変動政策の動向

パリ協定からの離脱表明

米国はオバマ政権時の2015年に国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)でパリ協定に調印し2025年に温室効果ガス(GHG)排出量を2005年比26~28%削減することになっていたが、トランプ大統領は2017年6月、パリ協定からの離脱を表明した。

トランプ大統領は2016年の選挙キャンペーン中から気候変動問題に懐疑的な見方を示し、パリ協定からの離脱を選挙公約としていた。離脱表明に際しトランプ大統領は「パリ協定は米国経済に悪影響を及ぼす。米国と米国民を守るためにパリ協定から離脱、あるいはより公平な協定条件について再交渉する」と離脱の理由を述べた。

トランプ大統領のパリ協定離脱表明にもかかわらず、あるいは離脱表明をきっかけに幾つかの州政府、自治体、民間企業などはこれまで以上に温暖化対策を強化する動きを示している。カリフォルニア州、ニューヨーク州、ワシントン州を創立メンバーとして12の州と1自治州が「米国気候同盟」(United States Climate Alliance)を立ち上げ、パリ協定における米国の排出削減目標を域内で遵守することを誓約した。またニューヨーク、ヒューストン、シカゴ、アトランタなどの主要都市を含む全米の279都市の市長はパリ協定を支持しその責任を果たすため、再生可能エネルギーや省エネ事業への投資を拡大し、温室効果ガスの排出削減をリードすることで合意した。

火力発電所CO2排出規則の見直し

オバマ大統領が2013年6月に発表した気候変動問題に対する新たな行動計画(Climate Change Action Plan)を受け連邦環境保護局(EPA)は、2013年9月に新設火力発電設備を対象としたCO2排出規制案、2014年6月に既設火力発電設備を対象としたCO2排出規制案(CPP:Clean Power Plan)をそれぞれ発表し、最終的に2015年8月3日、米国初のCO2排出規制の最終規則を発表した。CPPは2015年10月、正式に発効した。

CPPは電気事業全体で2030年までに2005年比32%のCO2排出削減を見込んでおり、パリ協定における米国のGHG削減目標を達成するための有力な手段の一つに位置付けられていた。

しかしCPPに対しては共和党や石炭関連業界からの反発も強く、2015年末には石炭依存の比較的高い27州や石炭関連企業がCPP打倒を目指し訴訟に踏み切るとともに、規則の一時差し止めを要請した。DC巡回控訴裁判所はこの規則一時差し止め要請を却下したが、2016年2月、連邦最高裁は訴訟の決着がつくまで規則差し止めを認める決定を下した。このためCPPの実施は訴訟結果が出ないまま延期となっている。

国内石炭産業の復活を選挙公約の一つとしていたトランプ大統領は2017年3月、EPAに対しCPPを見直すよう指示した。これを受けEPAはCPPの見直し作業を実施中である。

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