海外電力関連 解説情報

「米国東部でハリケーンによる大規模停電が発生」

2012年11月7日

 米国東部はハリケーン「サンディ」の影響で、連邦政府および東部12州、ワシントンDCが非常事態宣言を発令し、ニューヨーク州とニュージャージー州では一部地域に避難勧告が出された。10月29日、30日の両日は、連邦政府機関が一斉に事務所を閉鎖したほか、大部分の航空機や東部地区の鉄道・地下鉄も運行を停止した。さらに、東部の大部分の州において大規模な停電が発生、30日午後2時現在の停電軒数は800万軒を超えている。

 「サンディ」は米国上陸直前にハリケーンから温帯低気圧になり、10月29日午後8時ごろにニュージャージー州アトランティックシティ付近に上陸。米国に影響を及ぼし始めた時には、ハリケーンのレベルとしてはカテゴリー1と5段階中で一番低い水準とされたが、中心気圧が940ヘストパスカルとまれに見る勢力となり、暴風・強風域が広い範囲になったため、上陸前から各地で大きな被害が発生し、停電も規模が大きくなった。

 10月30日午後2時現在(米国東部時間)、首都ワシントンDCと20州で停電が発生しており、停電軒数は820万軒に達している。停電した州のうちニュージャージー州では60%を超える停電率となっている。各電気事業者はワシントン州など遠隔地からも作業員を非常招集、復旧作業に取り組んでおり、メリーランド州やペンシルベニア州では、停電軒数は徐々に減少しているが、全ての復旧作業が終了するまでには10日間程度かかる見通しである。

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○最新の状況は、DOEのHPから確認できます。

http://www.oe.netl.doe.gov/named_event.aspx?ID=67

 エネルギー省(DOE)の発表によると、10月30日午前8時現在、3基の原子力発電所が運転を停止し、3基が出力を減少させて運転を行っている。このほか、現在、定期点検で停止中のオイスター・クリーク原子力発電所(ニュージャージー州)は取水口の水位が高くなったために、アラート(4つの非常事態宣言のうち低い方から2番目)を宣言している。DOEは原子力発電所以外の電力設備に関する被害については発表していないが、ニューヨーク市にあるコン・エジソン社の変電所で爆発があったとの報道もある。原因は、浸水もしくは飛来物によるものと見られている。

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