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[米国] 米エネ省、溶融塩炉など先進的原子力技術の商業化支援対象を公表

2017年7月14日

米エネルギー省(DOE)の原子力局(NE)は6月26日、民間で開発が進められている先進的原子力技術の商業化を支援するため、「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」イニシアチブにおける2回目の支援対象14社に、合計約420万ドル相当のバウチャー(利用権)を交付すると発表した。
テレストリアル・エナジー社が開発中の一体型溶融塩炉(IMSR)など、溶融塩関係の技術が大半を占める一方、小型モジュール炉(SMR)や高速炉関係の技術も多数、選定された。
DOEとしては、次の段階に進化しつつある原子力技術の開発・商業化に向けた支援の必要性と緊急性は、かつてないほど高まっていると認識している。
既存の原子力発電所で安全かつ信頼性のある経済的な運転を保証しつつ、GAINを窓口として、DOEが全米で所有する国立研究所などの複合設備や人材、材料、専門データといった広範な研究機能と専門的知見を先進的な原子力技術の開発事業者に提供。
コスト効果の高い迅速な方法で革新的技術を商業化するため、DOEは最先端の研究開発・実証インフラを利用できるようにし、技術面や規制面、財政面で事業者を支援していく考えだ。
GAINは2015年11月、パリで国連気候変動枠組条約・締約国会議(COP)が開催されるのに先だち、オバマ政権が原子力をクリーン・エネルギー戦略の重要な構成要素と認めた上で、世界的な低炭素経済への移行を米国が牽引する目的で創設した。
2016年に第1回目のバウチャー交付を実施した後、DOEは2017会計年度分として、今年2月9日から3月9日までの間、バウチャー希望者から関心表明書(LOI)を募集。
今回の交付先公表は、DOEが6月下旬に、国内28州の大学等における先進的な原子力研究と関係施設の共用、分野横断的な技術開発、インフラ整備などへの年次支援として、合計6,700万ドルの補助金交付を発表したのに続く措置となる。
バウチャーの受領により、それぞれの技術開発事業者に支援金が直接支払われるわけではなく、事業者はバウチャーを通じて、国立研究所等に備わっている研究機能を無償で利用することが可能になる。
具体的には、先進的原子力技術のリソースに関する集中情報ポータルの利用やニーズの評価、研究ワークショップが実現するほか、関連の新しいコンピューター・ツール開発などで国立研究所の科学者と事業者の連携が可能。
DOEも米原子力規制委員会(NRC)との調整により、技術開発事業者に許認可手続上の支援を行うほか、事業者には訓練の機会も与えられる。
交付先に選定された14社それぞれが、様々な分野の先進的原子力技術をカバーするとしており、溶融塩に関する技術は7社が提案した。
対象技術の詳細としては燃料の物理特性や熱水力学、機器開発、廃棄物の再処理、塩化物、フッ化物塩などを挙げた。
5社が実施する軽水炉関連の技術開発は既存原子炉とSMRに関するもので、廃棄物の再処理、SMRの熱水力学、受動的安全性、プラントの健全性モニタリングが含まれる。
また、3社は金属冷却高速炉概念の商業化を目指しており、そのための規制/許認可支援やナトリウム冷却炉、鉛ビスマス冷却炉の開発に対して支援が行われる。
このほか、モデリングとシミュレーション関係の作業や先進的なデジタル式計測制御(I&C)系技術が支援対象に選定されている。

 

【情報提供:一般社団法人 日本原子力産業協会

 

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