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[米国] 米下院で高速中性子炉の建設と低線量被ばく研究に関する法案通過

2018年3月7日

米原子力エネルギー協会(NEI)は2月15日、高速中性子源となる多目的研究炉の建設を促す法案と低線量被ばくの健康影響に関する研究促進法案が13日付けで議会下院を通過したことを、産業界として大いに歓迎するとの声明文を発表した。
これらが成立すれば、原子力分野の研究者達は高速中性子の照射設備を有するロシアに頼らずに原子力発電所の性能改善で新たな方策を見出すことが可能になるとNEIは指摘。
先進的な原子炉設計や燃料を開発する一助になるとした。
また、低線量被ばくに関する国民の知識が向上し、科学的根拠に基づくコスト効果の高い安全性の確保で、より良い政策やプログラムが策定されるとの認識を提示。
今後、両法案を審議する上院議員に対しては、これらを速やかに可決成立させてほしいと要請している。
高速中性子炉の建設を促す法案は「2017年原子力研究インフラ法案(H.R.4378号)」と呼称されており、昨年11月に共和党議員が提出した。
先進的原子炉技術に関する研究開発を支援するため、2025年末までに多目的研究炉を国家的設備として全面的に利用可能とすることをエネルギー省(DOE)長官に指示している。
高速中性子スペクトルの照射能力と新しい拡大研究の必要性に対応する能力を持たせるなど、中性子照射サービスにおける連邦政府の研究ニーズに見合ったものを要請。
この目的のために、DOE長官は民間セクターや大学、国立研究所および関係する連邦政府機関と協議を行うべきだと進言している。
予算措置としては、2018会計年度の3,500万ドルを皮切りに、2025年までの各会計年度で年間3億5,000万ドルを超えない額を設定。
議会予算局(CBO)は、同法案の実施にともなう2027年までの総経費を20億ドルと見積もっている。
一方の「低線量放射線研究法案(H.R.4675号)」は、医学博士の学位を持つ共和党員が昨年12月、議会に提出した。
同議員によると、高線量被ばくによる健康への悪影響については実証データが豊富に存在するのに対し、低線量被ばくに重点を置いた計測結果や研究調査はごくわずかとなっている。
放射線はレントゲン写真やCTスキャン、先進的がん治療に至るまで、医師にとって不可欠のツールであるが、これらにともなう具体的な健康リスクを定量化することは今のところできない。
このため同法案では、低線量放射線に関する基礎研究プログラムの実施をDOE長官に指示した。
長官は同研究における現行の課題を特定するとともに、それらに取り組むための長期的基礎研究プランを策定。
同時に、既存の科学的知識体系を活用しつつ、国際的な研究コミュニティとも連携することになるが、DOEは具体的に、法案発効後180日以内に4年間の研究プランを議会に提出することが求められている。
プログラムの実施に際し、DOEが協議すべき機関としては、航空宇宙局(NASA)や国立衛生研究所(NIH)、環境保護庁(EPA)、国防総省(DOD)、原子力規制委員会(NRC)、国土安全保障省(DHS)を列挙。
2022年までに必要な予算は、9,600万ドルにのぼるとCBOが見積もっている。 

 【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

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