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[英国] 規制庁、事業者との協働による規制への取組み文書を公表

2018年4月20日

英国の原子力規制庁(ONR)はこのほど、被規制者である事業者との協働により原子力産業の安全・セキュリティを向上させていく考え方を示した文書「産業界に責任を持たせて改善を促すイネイブリング・レギュレーションのための実務ガイド」を公開した。
「イネイブリング・レギュレーション=事業者の成長を促す立場での規制」という理念に基づき、産業界やその他のステークホルダーと建設的なアプローチを取ることで、一層明確かつ優先項目を絞った効果的な安全・セキュリティを目指そうという内容。
同文書では、このようなアプローチをONRと事業者の法的・実務的義務に盛り込んだ結果、安全・セキュリティが実際に改善されたケース・スタディを多数、提示している。
同文書によると、「イネイブリング・レギュレーション」という理念はONRにとって特段新しいものではなく、これに基づく原則を長年にわたって実行してきた。
しかし、昨年10月にONRの首席原子力検査官(CNI)に就任したM.フォイ氏は、この考え方に言及する機会が近年は次第に多くなっていると指摘。
将来的にも適切で効率的な規制者となるためには、これまでの活動の中から教訓を抽出し、安全・セキュリティの確保に有効と証明された慣行や行動を一貫して用いていく必要があるとした。
その上でフォイ氏は、これまでの規制上の良慣行に基づいて技術革新を促すとともに、最良の安全・セキュリティを日常的に達成できるような規制機関となる道筋を、ONRは模索していると説明。
このアプローチが成功を納めた過去の事例を数多く紹介し、同理念に基づく原則や活動も含めて、ONRのイネイブリング・レギュレーションに対する理解を促進することが目的だとしている。
同文書でONRはまず、説得力のある影響力を持ったアプローチを規制に適用する際の原則として、以下の5項目を挙げた。
すなわち、

(1)安全・セキュリティ上、明白な優先事項に重点を置き、それらを事業者および主要なステークホルダーに伝える、
(2)ステークホルダーらと意見が一致した安全・セキュリティ上の優先事項の解決に向け、前向きに取り組む、
(3)必要とされる安全性の確保という目的において一切妥協することなく、効率的でバランスの取れた一貫性のあるアプローチを追求する、
(4)安全・セキュリティ面の監督管理においては、目標を絞った透明性の高い、定量的なリスク評価に基づいた手法により国民の信頼を維持し、国民の利益のために法的権限を適切に行使する、
(5)事業者が日常的に行う安全・セキュリティ上の自主的規制が成熟したものになるよう、積極的に奨励する、――である。

これに続いてONRは、これまでにイネイブリング・レギュレーションが適用された13の事例を同文書で取り上げている。
それらは、「危険とリスクの低減のためにセラフィールドで取られたG6アプローチ」、「新たな原子炉設計の建設に先立ち、コスト面で規制上の不確定要素を軽減するための包括的設計審査(GDA)」、「規定の要件を満たした極低レベル放射性廃棄物に対し、通常廃棄物として公共廃棄場への処分を許可」、などである。
ONRによると、G6アプローチはセラフィールド原子力サイトで適切な安全基準を遵守しつつ、危険とリスクを低減するべく新たに導入された革新的な規制戦略。
これにより、同サイトのリスク低減作業を大幅に加速することができるとONRは指摘した。
同サイトで過去に発生した事象や規制関係の調査結果から、ONRはこれまで過度に官僚的で保守的かつリスク回避志向となったことがあり、高価で過剰な工学的解決策や安全性保証文書の提出などを要求。
これらが同サイトのリスク低減プロジェクトに悪影響を及ぼしていたことをONRは認めた。
そこで、関係する6つの主要機関(ONR、英国貿易投資総省、ビジネス・エネルギー・産業戦略省、原子力デコミッショニング機構、環境庁、セラフィールド社)による作業グループを設置し、リスクの低減における共通目標と障害を特定。
障害を克服するための方策をG6のメンバー全員で検討・設定しており、いくつかの核施設で具体的な措置を開始したほか、他の施設においても長期的なリスク低減プログラムが大幅に進展したことを明らかにしている。

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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