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[EU] 低炭素な欧州の未来に原子力は必要と強調

2019年3月12日

フォーラトム(欧州原子力産業会議)は2月7日に新しいポジション・ペーパーを公表し、欧州連合(EU)が加盟国住民に信頼性の高い適正価格な電力を供給しつつ、持続可能で低炭素な未来を約束する際、原子力が一助になるとの見解を表明した。
EUのこのような目標の達成に向けて、原子力には主に次の3点、すなわち(1)環境面での持続可能性、(2)エネルギーの自給、(3)経済への貢献――において利点があると指摘。
その上で、EUが推進する2050年までの戦略的長期ビジョン「クリーン・プラネット・フォー・オール」では、原子力の果たし得る役割が確認済みであるとした。
すなわち、2050年までに欧州でカーボン・ニュートラルな状態(CO2の排出量と吸収量が同量)を達成するには、原子力が再生可能エネルギーとともに、欧州の無炭素な電力システムにおいて支柱的存在になると説明。
可能性のある8つのシナリオのいずれにおいても、かなりの発電シェアを原子力が担っている点を強調している。
フォーラトムのY.デバゼイユ事務局長によると、欧州委員会(EC)は欧州の低炭素な未来における重要な要素として、原子力を「正しい方向に向けた一歩」と認識。
原子力にはCO2の排出量を抑える能力があるのみならず、エネルギーの供給保証面、環境面や経済面および社会的な側面においても持続可能であるなど、多くの利点を備えている点に目を向けることは大事なことだとした。
今回のポジション・ペーパーで、フォーラトムはEUにおける持続可能な未来や、EU諸国がカーボン・ニュートラルな状態となる上で、原子力がどれほど貢献可能であるかを集中的に取り上げている。
原子力はEU諸国がCO2の排出レベルを下げるのに役立つだけでなく、SOxやNOxなどの危険な大気汚染物質を基準値以内に抑えるのにも役立つと指摘。
原子力発電所はほかのエネルギー部門と比べて廃棄物の排出量も少なく、原子力産業界は核燃料サイクルのバックエンド全体についても策を講じている。
必要な土地の面積も、風力や太陽光といったその他の低炭素電源と比べて、大幅に少なくて済むとした。
また、原子力がもたらすその他の重要な貢献は、エネルギーの自給レベルを上げられる点だとしている。
EUが消費エネルギーの約半分を輸入で賄っていることや、加盟国の多くが単一の外部供給国に依存していることからも、この貢献は必要不可欠である。
また、高いエネルギー密度や供給力、エネルギー供給源の多様化、信頼性などの点で原子力には利点があり、化石燃料の輸入依存を低減する上で大きく寄与しているとした。
フォーラトムはさらに、原子力が経済的にも社会的にも持続可能なエネルギー源であると強調。
発電コストの観点では、原子力は燃料価格の急上昇から影響を受けにくく、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)も「発電コスト予測」報告書の中で、「耐用期間中の均等化発電コスト(LCOE)」に基づけば原子力は陸上風力発電とともに最もコスト面で効率性が高い、低炭素なエネルギー源であるとしている。
また、原子力産業界は高度な技術を必要とする雇用を長期的かつ大量に創出するなど、その国の経済成長にも大きく貢献していると明言。
フォーラトムの試算では、原子力産業界は欧州で約8万人の雇用を提供したとしている。
(参照資料:フォーラトムの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」) 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

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