高レベル放射性廃棄物の地層処分

放射性物質は放射線を放出しながら、時間が経つにしたがってその強さを減少させていきます(放射能の減衰)。
製造直後のガラス固化体表面の放射線量は約1,500Sv/hと極めて高レベルであり、1000年を経た後も、約20mSv/hのレベルです。その後は半減期 ※1 の長い核種による放射能が残存しますが、天然ウラン並みの有害度 ※2 になるまでは約8000年、さらに数万年後には、燃料の製造に必要なウラン鉱石(約750t)の放射能と同じレベルにまで減衰します。
このように、放射能は減衰しながらも長く存在するため、ガラス固化体を長期にわたって人間の生活環境から安全に隔離することが必要です。

※1 放射性物質が持つ放射能の強さが半分になる期間。半減期は放射性物質の種類によって異なる。
※2 人が体内に放射性物質を直接取り込んだと仮定した場合に受けると推定される線量の有害度。

高レベル放射性廃棄物の減容・有害度の低減

※1 数字は原子力機構概算例 直接処分時のキャニスタを1としたときの相対値を示す
※2 潜在的有害度:人が人体に放射性物質を取り込んだと仮定した潜在的な有害度
※3 出典:原子力政策大綱 上欄は1GWyを発電するために必要な天然ウラン量の潜在的有害度と等しくなる期間を示し、下欄は直接処分時を1としたときの相対値を示す

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 資料などより作成

地層処分の利点

地下深い層は、石油や石炭、鉄などの鉱床が何百万年、何千万年という長期間にわたって安定な状態で保存されてきました。酸素濃度が低く、地下水の動きも極めてゆっくりしているため金属がさびることもありません。自然現象や人間の活動の影響、社会の変動などの影響も受けにくく、人間の生活環境との間に「十分な距離」を保つことができ、放射能が減衰するまでの「十分な時間」をかせぐことができます。

このような理由から、高レベル放射性廃棄物の処分方法として「地層処分」が最適であることは、世界共通の認識になっています。

高レベル放射性廃棄物の地層処分の方法

ガラス固化された高レベル放射性廃棄物は、冷却のために30〜50年専用の施設で貯蔵された後、地下300メートル以深の深い地層に埋設し、人間の生活環境から隔離します。

日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集

原子力発電環境整備機構(NUMO)

そのため、将来のいかなる時点においても、人間とその環境に影響をおよぼさないよう、人間や生活環境との距離を保つため、オーバーパックや緩衝材といった「人工バリア」と、安定した岩盤などの「天然バリア」とを組み合わせた「多重バリア」を構築し、安全な処分を実現します。

日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集

資源エネルギー庁

適切な地層への処分

人間とその環境との距離を保つためには、地下資源開発など、人間活動の対象にならない地層で、しかも十分な深さをもち、地殻変動が少ないことなどの条件を満たす地層が必要です。

わが国では、(独)日本原子力研究開発機構が中心となって地層処分の研究が進められてきましたが、その結果、日本には火山や地震、断層活動の影響が少なく、今後10万年にわたって安定していると評価される地層が広く存在することが明らかになっています。

「多重バリア」の構築

人工バリア

その後、ガラス固化体は厚い金属製容器(オーバーパック)に納め、さらにその周りを粘土で覆い(緩衝材)、地下300メートルより深い、安定した地層中に埋設します。

オーバーパックは、ガラス固化体が地下水に接触することを防止し、地圧などの外圧からガラス固化体を保護します。

緩衝材は、オーバーパックと地層の間に充てんし、地下水の浸入と放射性物質の動きを抑制します。また緩衝材は地層の変位に対するクッションの働きもします。

放射性物質をガラスで固めて閉じ込めているガラス固化体の構造も、人工バリアの一つです。

天然バリア

オーバーパックや緩衝材を埋設する安定した母岩は、天然のバリアです。
また、地下深くでは酸素も少なく、地下水の移動も遅い(1年間に数センチという地層もある)ことが知られています。

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