原子力発電所の安全対策

設計基準強化のための対策(例1:自然現象に対する考慮)

新規制基準では活断層や地下構造の調査が改めて求められているため、必要に応じて基準地震動*の見直しや耐震強化を進めています。津波についても発生場所や高さを評価し、安全上重要な機器の機能が確保されるよう対策を実施。さらに防波壁・防潮堤の設置、扉の水密化なども行っています。 また、地震・津波のほか、新たに火山・竜巻・森林火災などへの対策が求められるため、原子力発電所の安全性に対する影響を適切に評価し、必要に応じて対策を講じます。さらに、所内の火災で原子炉施設の安全性が損なわれないよう、火災発生の防止、火災の感知および消火、火災の影響軽減などの防護対策についてプラントごとの設計条件を考慮して継続的な改善を行い、火災防護の信頼性を向上させます。

* 耐震設計において基準とする地震動で、施設周辺で発生する可能性がある最大の地震の揺れの強さ。

設計基準強化のための対策(例2:電源・冷却設備の強化)

緊急時はプラントを安定した状態にするため、あらゆる場面で電源が必要になります。地震や津波などで送電線や非常用ディーゼル発電機が同時に喪失しないよう、外部電源(送電線)を2ルート以上確保。変圧器などの電気設備の浸水対策も講じます。常設の非常用ディーゼル発電機が機能しない事態が起きても、バックアップする移動可能な非常用電源(電源車など)や恒設の空冷式の非常用電源を追加します。また、発電所内のすべての交流電源が喪失した時でも、原子炉への注水制御などに使用する直流電源を長時間供給できるよう、バッテリーなどの設備強化を図ります。

シビアアクシデントへの対策(例1:炉心損傷防止対策)

地震や津波などで複数の冷却設備が同時に機能喪失する場合を想定し、多様な冷却手段を確保します。これにより炉心が損傷する事態を防止します。既存の海水ポンプに代替できる大容量ポンプを配備し、海水ポンプモーターは予備も確保。緊急時の水源もタンク・河川・ダム・貯水池など多様化を図っています。また、既存の非常用ポンプが破損した場合に備え、可搬型ポンプなどを配備して原子炉や使用済燃料プールの冷却を確保する対策も講じます。

シビアアクシデントへの対策(例2:格納容器破損防止対策・放射性物質の拡散抑制)

万が一、炉心が損傷しても、格納容器の破損や水素爆発を防止し、環境への放射性物質の放出を十分低減させる対策を講じます。緊急時に格納容器を冷却する機能を強化し、炉心損傷が起きた場合、格納容器下部に落下した溶融炉心を冷やす注水ラインを新たに設けます。また、シビアアクシデント時に格納容器内部の圧力を下げるため蒸気を放出し,そこから放射性物質を低減して排気する「フィルタ・ベント」を設置。炉心損傷時に懸念される水素爆発を防ぐため、水素濃度を低減できる「静的触媒式水素再結合装置」や原子炉建屋上部から水素を排出する設備も追加で設置します。

シビアアクシデントへの対策(例3:意図的な航空機衝突への対応)

可搬式設備を中心として設備を分散配備することや、特定の箇所に被害が出てもほかの配備箇所で対応できるよう措置を講じます。さらに、これらの可搬型設備のバックアップとして、特定重大事故等対処施設も整備します。

一層の安全性向上に向けた対策

緊急事態が発生した場合でも、非常用設備などを有効に活用できるよう、過酷な事態を想定したマニュアルを整備するとともに、防災訓練などソフト面の対策を継続的に実施しています。

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