資料1−2
産構審環境部会地球環境小委員会「中間取りまとめ」の概要(抜粋)
◆ 京都議定書の削減目標達成に向けた国内対策に関する考え方
<課題と背景>
・京都議定書は、削減目標と採りうる手法を定めているが、各国が具体的にどのような措置を採るかについては各国の裁量に委ねている
・米欧と比較して、我が国の排出削減コストは高い。また、目標達成は諸外国に比べても容易でなく、我が国が京都議定書の締結を行うことは、国民各層に厳しい対応を迫ることになる点を十分念頭に置くことが必要。なお、京都議定書の実施に伴う経済的影響はGDPに対してマイナスの影響
<国内対策に関する3つの基本原則>
(1)過度な負担の回避 (2)負担の公平性 (3)経済合理性と柔軟性の確保
<国内対策に関する3つの基本骨格>
(1)段階的アプローチ (2)既往施策と新たな施策のベストミックス (3)市場メカニズムの活用
◆ 京都議定書の削減目標達成に向けた当面の取組
○当面は既往施策の充実・強化を図り、円滑かつ確実性の高い削減取組を軌道に乗せる。事業者による対策については、各主体の創意工夫を引き出す観点から、自主行動計画を通じた取組を基軸とする。
1.エネルギー起源の二酸化炭素排出抑制対策(1990年度比±0%)
(1)省エネルギー対策(約600万トン−C削減)
・既存対策(経団連自主行動計画等に基づく措置ほか)による約5000万klに加え700万klの対策
(2)新エネルギー対策(約900万トン−C削減)
・新エネルギーの導入基準制度(RPS)等電力分野における新たな市場拡大措置の導入に向けた具体的な検討を進める
(3)燃料転換等(約500万トン−C削減)
・効果や経済的な影響等を検討しつつ、火力発電所や産業用ボイラ等において使用される燃料をよりCO2排出量の少ない燃料に転換促進
(4)その他
@原子力発電の推進:2010年度において1999年度の3割以上の発電電力量の増加を目指した原子力発電所の増設が必要
Aエネルギー特別会計の歳出グリーン化: エネルギー特別会計の歳出項目の見直し
2.技術開発
・産業、民生、運輸分野の有効活用に資する技術、CO2固定化・有効利用に関する技術の基礎研究から導入・普及まで、段階的・階層的アプローチのもと強力に実施
3.代替フロン等いわゆる「3ガス」に関する取組
4.京都メカニズム活用のための基盤整備
・京都メカニズムの重要性を踏まえ、既に進められている民間事業者による創意工夫を十分に活かしていくための基盤形成を図る
5.温室効果ガスの排出状況のモニタリング
・工場、事業場別の排出量把握については、省エネ法を活用する定量的把握によって、新たな実施コストを最小限に抑えつつ有効な情報を得ることが可能
◆ 国際的枠組みに係る今後の課題について
1.米国参加の重要性
・米国が京都議定書に参加することは、地球温暖化防止の実効性を確保する観点からも、また将来の途上国参加を促す観点からも極めて重要な課題
2.途上国参加の重要性
3.今後の国際交渉の展開と我が国の対応
・2005年までに第二約束期間の交渉を開始。我が国として、望ましい枠組みの在り方に関する考え方を整理して、その実現に向けた国際的働きかけを
積極的に展開することが必要
◆ 京都議定書の締結に向けた国内制度
○ステップ・バイ・ステップのアプローチ (第1ステップ2002年〜2004年、第2ステップ2005年〜2007年、第3ステップ
2008年〜2012年)
○費用対効果の高い取組を進めることができる国内制度の整備・構築
・技術開発・対策導入を誘導するような経済的措置を活用したインセンティブを付与する施策
・国際排出権取引が十分活用できるような仕組みの整備
○我が国の国内対策の留意点
・我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような国内制度の整備・構築ー革新的な技術開発、交通インフラ整備など
・簡素で質の高いライフスタイルへの変更
◆ 京都議定書の目標を達成する対策・施策の全体像を明らかする「京都議定書目標達成計画」の法律に基づく策定・評価・見直し
○「地球温暖化対策推進大綱」に代わる新たな計画として「京都議定書目標達成計画(仮称)」を策定することが適当
◆ 地方公共団体の対策の推進
◆ 議定書目標の達成のための排出削減・吸収に関する対策・施策
○地球温暖化防止に関する国民各界各層の理解と行動を求める活動の展開
○日常生活における対策・施策
<第1ステップの取組>
・地球環境時代にふさわしいライフスタイルの形成に向けた運動の全国展開
・都道府県温暖化防止活動推進センターの指定要件の拡充
・「温暖化対策診断」事業の実施
・家庭等における排出量の把握促進 (電力、ガス、ガソリン等の代金の領収書等への温室効果ガスの排出量の記載) 等
<第2ステップの取組>
・製品の温室効果ガスのライスサイクル・アセスメント情報の公表・提供制度 等
○事業活動における対策・施策
<第1ステップの取組>
・国・地方公共団体の実行計画を通じた対策の推進、グリーン購入の拡充・強化
・経団連自主行動計画等の透明性・客観性等を高めるための基盤づくり (温室効果ガスの排出量の事業者による把握・公表、自主取組の第三者評価の仕組み) ・経団連自主行動計画等の参加業種の拡充と中小企業の自主的取組の推進
・技術対策の導入促進 (自然エネルギーからの電力の新たな市場拡大措置、原子力の開発利用 等)
<第2ステップの取組>
・事業者の実行計画の策定等の義務化、政府との間の協定 等
○都市・地域基盤整備等による脱温暖化型社会の形成
○吸収源対策
○京都メカニズム
○経済的手法等
・温暖化対策税制:「引き続き検討を進めていくことが適当」
・国内排出量取引:「自主的な取引の実施を支援(第1ステップ)、多面的な検討(第2ステップ)」
◆ 技術開発の促進
◆ 調査研究の推進、監視・観測体制の強化