[英国] 英サイズウェルC計画にサイト許可
2024年5月30日
英原子力規制庁(ONR)は5月7日、サイズウェルC(SZC)原子力発電所建設プロジェクトに対し、サイト許可(NSL)を発給した。
同NSLは2020年6月、NNB Generation社(当時)によってONRに申請されたもので、NSLが発給されるのは、2012年11月にヒンクリーポイントC(HPC)発電所プロジェクトに発給されて以来12年ぶり。
EDFエナジー社のSZCプロジェクトは、イングランド東部サフォーク州にEPR-1750(172万kWe)を2基建設する計画で、SZC社がプロジェクト実施主体となっている。
原子力部の着工に先立ってSZC社は、NSL以外にも関係当局からの認可が必要である。
仏EDFは2016年10月、中国広核集団(CGN)とSZCプロジェクトを最終投資判断(FID)ができる段階まで開発することで合意。
出資比率はEDFが80%、CGNが20%。
しかし、英中関係のいわゆる「黄金時代」は終わりを告げ、英政府は安全保障上の懸念を理由に、英国のインフラに対する中国の出資を見直し、阻止した。
2022年11月、英政府は6.79億ポンド(約1,313.8億円)を出資し、SZCプロジェクトでEDFと折半の50%出資パートナーになると表明。
2023年夏には、プロジェクト加速のため、5.11億ポンド(約988.7億円)の追加資金を拠出した。
2024年1月には、FIDが出されるまでの間、道路や鉄道など必要なインフラ工事が続けられるように、さらに13億ポンド(約2,515.5億円)の拠出を発表。
なお、仏EDFはFIDにおいて、最大20%の少数株主持分のみ保持する意向を明らかにしている。
英政府はSZCプロジェクトへの投資を求めており、2023年9月に英政府は民間部門からの投資募集プロセス発表。
その第一段階として、潜在的投資家の事前資格審査を開始した。
また、大規模インフラプロジェクトの資金調達の新たな方法として、電力消費者が建設段階で費用を負担する「規制資産ベース(RAB)モデル※」を認める法案が議会で可決された。
SZCはRABモデルを通じて資金調達する初の原子力発電所建設プロジェクトとなる。
SZC社の発表によると、サイトでは土木工事が進行中。
投資家からの未公開株式(PE)による資金調達は順調に進んでおり、今後数か月以内にFIDを行う予定であるという。
※個別の投資プロジェクトに対し、総括原価方式による料金設定を通じて建設工事の初期段階から、需要家(消費者)から費用(投資)を回収するスキーム。
これにより投資家のリスクを軽減でき、資本コスト、ひいては総費用を抑制することが可能になる。
【情報提供:原子力産業新聞】
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