電気事業連合会

運転員・保修員の教育・訓練

原子力発電所が安全に運転を続けていくためには、現場を担う運転員や保修員の原子力の安全確保に対する高い意識や、優れた知識と技能が重要です。電力会社は、社内および社外の専門施設において、長期的かつ計画的に運転員や保修員の教育訓練に取り組んでいます。

日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集

運転員の教育訓練

社内の教育訓練

運転訓練について各電力会社は、運転訓練設備(シミュレーター)を設置し、緊急時対応訓練や、故障・トラブルの再現訓練などを実施し、運転員の教育および訓練を行っています。

社外の施設での教育訓練

原子炉のタイプ別に、BWRを対象としたBWR運転訓練センター(BTC)と、PWRを対象とした原子力発電訓練センター(NTC)があり、いずれも各電力会社の原子力施設の運転員の基礎教育、シミュレーター訓練を行っています。これらの訓練センターには運転員の能力に応じたカリキュラムが組み込まれており、各電力会社は、運転員を定期的に運転訓練センターに派遣し、再訓練を実施しています。

また、運転責任者の任務はとくに重要であることから、原子力施設の運転に直接必要な知識・技能だけでなく、リーダーシップ、危機管理能力も要求され、これらに関する教育訓練も行っています。

保修員の教育訓練

保修員の訓練については、日常の実務を通じて行う訓練(OJT)のほかに、各電力会社が保修訓練センターを設置しており、各電力会社の社員および保修関係会社社員に対して、保安規定や放射線防護についての教育や、原子力に特有の機器、設備の実物モデルによって保修実務の教育訓練を行っています。

また、メーカーで製造している機器に対する各種訓練コースを設けており、技術者をメーカーに派遣して教育訓練を行っています。

運転責任者の資格認定制度

原子力発電所は、当直長をリーダーとする「直」と呼ばれるチーム単位で運転にあたります。当直長は、原子力発電所の運転操作に関し、総合的な判断に立って適切な指揮を行うべき責任ある立場にあります。このような任にあたる運転責任者(当直長)は、国の定める基準に適合していることが必要になります。

国の基準では、「運転責任者は、原子炉の運転に必要な知識・技能および経験を有しており、経済産業大臣の定める基準に適合した者の中から選任しなければならない」とされており、具体的には、次の4つの基準があげられています。

  • 原子炉の運転に関わる業務経験を5年以上有すること
  • 過去1年以内に、同型原子炉の運転業務経験を6カ月以上有すること
  • 原子力発電所における管理・監督的地位にあること
  • 原子炉に関する知識・技能を有すること

試験は、シミュレーターを使った運転実技試験、講習、口頭試験によって、国の基準に適合していることが確認された者について認定書が交付されます。認定書の有効期限は3年です。

ページの先頭へ