資料1 

1999年5月19日

電気事業連合会

 

原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画
(原子力長計)について

 

1.原子力長計とは

 

 日本の原子力開発利用が平和の目的に限って計画的に遂行されるよう、1956年に設置された原子力委員会において「原子力開発利用長期基本計画(原子力長計)」が定められ、以来、おおむね5年ごとに見直され、前回まで計7回にわたって改定がおこなわれている。

 

2.前回改定(1994年6月24日策定)における概要

(1)21世紀の地球社会と原子力の果たす役割
 世界人口の増加、エネルギー消費の増大、資源制約、地球環境問題の深刻化、冷戦後の国際社会が直面する諸問題などを考慮すると、原子力は、
 ○人類が豊かで潤いのある生活の実現
 ○地球環境と調和した人類社会の持続的発展
 ○21世紀地球社会の条件整備への寄与 
 の観点から大きな貢献ができる。

 

(2)わが国の原子力開発利用の在り方
(1)原子力開発利用の目標 
  ・エネルギーの安定確保と国民生活の向上
  ・人類社会の福祉の向上
(2)原子力開発利用の大前提  
  ・平和利用の堅持
  ・安全の確保

 

(3)原子力開発利用の基本方針
 ○原子力平和利用国家としての原子力政策の展開 
 ○整合性ある軽水炉原子力発電体系の確立
 ○将来を展望した原子燃料サイクルの着実な展開
 ○原子力科学技術の多様な展開と基礎的な研究の強化

 

3.原子力長計(前回策定)の主要点

主要項目
長期計画 (1994年6月策定)

原子力発電規模の見通し

2000年:4,560万kW   2010 年: 7,050万kW
2030年:1億kW

原子燃料サイクル

 

MOX燃料利用

 

軽水炉

 

再処理

六ヶ所再処理工場

民間第二再処理工場

 

軽水炉MOX燃料加工事業

高速増殖炉

原型炉

実証炉

技術体系の確立

国内のプルトニウム需給見通し

 

 

1990年代後半:少数基  2000年頃:10基程度

2000年から2010年:10数基程度

 

800トン/年 2000年すぎに操業開始

2010年頃に再処理能力、利用技術などの方針を決定

 

2000年過ぎに年間100トン弱程度規模で事業化

 

「もんじゅ」:1995年末の本格運転を目指す

実証炉は2基、1号炉は2000年代初頭着工

2030年頃

供給が六ヶ所と東海の再処理工場、需要が「もんじゅ」をはじめ高速増殖実証炉、軽水炉MOX燃料利用により、需給均衡する見通しで、余剰プルトニウムは持たない原則

高レベル放射性廃棄物対策

2000年実施主体確立
2030年代から2040年代半ばまでに操業開始
貯蔵工学センター計画は引き続き推進

 


 

【原子力をめぐる近年の動き(1994年以降)】

 

【1995年】

○ 1月18日

日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが竣工

○ 4月26日

高レベル放射性廃棄物輸送船「パシフィック・ピンテール」号がむつ小川原に入港(第1回)

○ 8月25日

原子力委員会が青森県大間町の新型転換炉(ATR)実証炉計画の中止を決定

○ 8月29日

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」が発電開始

○12月 8日

「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故発生

【1996年】

○ 1月23日

日本原燃が再処理工場の建設工程の遅延について発表

○ 5月27日

高レベル事業推進準備会が中間とりまとめ(95年度)を公表

○ 7月18日

電源開発調整審議会で、原子力新規立地点としては10年ぶりに東北電力東通1号機が上程(98年8月31日原子炉設置許可)

○ 8月 4日

新潟県巻町で巻原子力発電所建設の賛否を問う住民投票を実施

○11月 7日

東京電力柏崎刈羽6号機(世界初のABWR)が営業運転開始

【1997年】

○ 2月20日

科技庁がもんじゅナトリウム漏れ事故の最終報告書をまとめ、原子力安全委員会に提出

○ 2月21日

電事連がプルサーマル実施の全体計画を発表

○ 3月11日

動燃東海再処理施設・アスファルト固化施設で火災・爆発事故発生

○ 7月30日

科技庁の動燃改革検討委員会が最終改革案をとりまとめ

○11月28日

高速増殖炉懇話会が「高速増殖炉研究開発の在り方」最終報告書とりまとめ

○12月1〜11日 

気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)が京都で開催され、「京都議定書」を採択
(日本は温室効果ガス排出量を2008-2012年の間に1990年比で6%削減)

○12月16日

動燃東海再処理施設・アスファルト固化施設の火災・爆発事故について事故調査委員会が最終報告書とりまとめ

【1998年】

○ 3月24日

エネ庁・科技庁・電力業界で構成する「使用済燃料貯蔵対策検討委員会」が、中間貯蔵事業のありかたを明らかにした報告書とりまとめ

○ 3月31日

日本原子力発電東海発電所(GCR、16.6万kW)が営業運転を終了

○ 7月29日

青森県、六ヶ所村と日本原燃が、試験用使用済燃料搬入に関する安全協定を締結

○10月 1日

動燃が解団し、新法人「核燃料サイクル開発機構」発足

○10月 7日

使用済燃料輸送容器の製造時の検査データーが改ざんされていたことが判明

○11月 4日

東京電力は福島第一原子力発電所3号機で計画しているプルサーマルについて、通産省へ原子炉設置変更許可を申請

○12月16日

通産省がプルサーマル計画に伴う関西電力高浜発電所3,4号機の原子炉設置変更許可

○12月24日

東北電力は通産相から東通原子力発電所1号機の第一回工事計画認可を受け、新設工事に着工

【1999年】

○ 2月 8日

東京電力など3社が原子力発電所の高経年化対策等の報告書をエネ庁に提出

○ 2月22日

科技庁が使用済燃料輸送容器の再点検結果について、データーの取扱いに問題がない旨発表

○ 3月19日

中部電力は通産相から浜岡原子力発電所5号機の第一回工事計画認可を受け、新設工事に着工

○ 3月23日

総合エネ庁原子力部会が高レベル放射性廃棄物処分事業の制度に関する中間報告書とりまとめ

○ 4月 1日

東京電力は柏崎刈羽原子力発電所3号機で計画しているプルサーマルについて、通産省へ原子炉設置変更許可を申請

○ 4月 9日

「地球温暖化対策に関する基本方針」が閣議決定。温暖化対策の一つとして「原子力の推進」明記(地球温暖化対策推進法の施行は4/8)

○ 4月26日

日本原燃が再処理工場の建設工程の遅延について発表

 


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