藤電事連会長定例記者会見発言要旨
(2003年 5月16日)
◎ 本日、私から申し上げるのは、次の2点です。
1点目は、2003年度技術開発計画について。2点目は、原産年次大会への電力としての参加についてです。
1. 2003年度技術開発計画
◎ まず、2003年度技術開発計画について申し上げます。お手許の資料1をご覧ください。
○ ご案内のとおり、電力の自由化について新たな方向性が打ち出され、各電力ともコスト低減やお客さまにとって利便性の高い技術開発に、従来にも増して積極的に取り組んでおります。こうした各社独自の取り組みに加え、
・ 電力共通の課題であるエネルギーセキュリティの確保や地球温暖化対策など公益的課題を達成するための研究
・ または、電力品質確保のための技術開発のように、各社共通のニーズがあり、開発に多くの費用や期間を要するものなど
については、効率化の観点から、今後とも業界全体で積極的に共同研究を進めていきたいと考えております。こうした観点から、このたび、電力が共同で取り組む2003年度の技術開発計画について取りまとめた次第であります。
○ 具体的な内容は、お手許の資料のとおりですが、主要な柱の1番目である「エネルギーセキュリティ確保と地球環境保全のための技術開発」としては、再処理関連や中間貯蔵、あるいは放射性廃棄物の合理的な処理処分の具体化に向けた技術開発など、原子燃料サイクルを支援するための開発を進めていきたいと考えています。また、次のページに移りますが、石炭利用のための技術開発として、高い発電効率が期待でき、これまでの石炭火力と比べて環境特性にも優れている「石炭ガス化複合発電(IGCC)」の開発や、将来の高効率火力代替電源として期待できる「溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)」、「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」などの開発についても、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
○ さらに、主要な柱の2番目である「電力品質確保のための技術開発」としては、今後、再生可能エネルギーや分散型電源の普及に対応するため、電力の品質を確保していく上で必要な系統技術を開発したり、電力機器の応答の高速化・大容量化・コンパクト化などが期待できる超電導応用技術の開発を進めてまいります。
○ これらの共同研究に関する費用としては、今年度166億円を予定していますが、電力中央研究所と連携したり、国のプロジェクトに参画することなどを通じて、一層の効率化やコストダウンを図っていきたいと考えております。また、実施にあたっては、達成状況や関連技術の動向などを踏まえて中間的な評価を行うとともに、研究テーマを絞り込むなど適宜計画を見直し、効率的な開発投資を心がけたいと考えています。
○ 先の電気事業分科会での取りまとめにもありますように、電気事業は、今後とも競争が一段と進み、さらに厳しい経営環境となることが予想されます。そうした状況のもとでも、私どもは、ただ今申し上げましたような、わが国の将来にとって欠かすことのできないエネルギー源の多様化や地球環境保全のための技術開発を進め、今後とも変わることなく公益的な使命を果たしていきたいと考えています。
2.原産年次大会への電力としての参加
◎ 次に、第36回日本原子力産業会議年次大会への電力としての参加について申し上げます。お手許の資料2をご覧ください。
○ 先月の会見で、福井市での信頼回復に向けた広聴活動「信頼回復委員会in福井」についてご報告させていただきましたが、これは、もともと原産年次大会の開催にあわせて実施したものです。本日は、改めて、この大会への私ども電力としての参加についてご報告させていただきます。
○ この原産年次大会は、エネルギー、特に原子力を平和利用していく上での重要な問題について、国内外の専門家が中心となって意見発表や討論を行うとともに、今後の原子力開発の進め方について、広く国民に理解していただくことを目的に実施しているものです。
○ 今大会では、国内外から1,336名の関係者が参加し、「国民の理解を求めて−原子力のさらなる発展のために」をテーマに活発な意見交換や議論が行われました。
○ 私ども電力としても原子力発電に携わる者として、これまでこの大会に積極的に参加しており、今回、私はセッション1で「社会の持続的発展に電気事業が果たす使命」と題して発言する時間をいただきました。
私からは、
・ 現在の文明が、今後とも繁栄を続けていくためには、生活や産業を支えるエネルギー資源を決して枯渇させることがないよう、最大限の努力を傾ける必要があること。
・ 私ども電力会社は、今後、資源制約や環境制約が強まる中で、引き続きお客さまに低廉な電力を安定的にお届けして、国民の皆さまの生活を支え、わが国の経済発展に貢献していくことが最大の使命と考えていること。
・ その役割を担うのが、燃料の調達と価格の安定性があり、環境優位性を有している原子力発電であり、ウラン資源を有効活用できる原子燃料サイクルを推進していく必要があること。
・ そのためには、原子力の信頼回復に業界の総力をあげて取り組むことと、自由化との整合が課題であること。
といった内容を申し上げました。
○ 今大会は、日本の原子力のメッカである福井県で開催され、私ども関西電力にとっても、大変意義深いものとなりました。
特に、大会を通じて、各国の関係者が、原子力に対する理解の獲得に様々な努力を積み重ねていることを伺い、大いに参考となった次第です。
○ 最近、米国のエネルギー省において、原子燃料サイクルに関する技術開発の動きがあったり、英国でも、政府が地球温暖化防止のため、原子力をオプションとして維持する必要性を認めるといった動きが出ています。
こうしたことが、わが国における原子力の正当な評価に向けた変化の始まりにつながればと願ってやみません。
そのためも、是非、私どもは、再び原子力に対する信頼を回復しなければならないと意を強くした次第です。
◎ 折りしも、このたびのイラク戦争では、結果的にわが国において、石油の供給面や価格面での大きな混乱はありませんでしたが、それは、2回にわたるオイルショックを教訓に、私どもが追求してきた電源のベストミックスへの取り組みが大きく寄与しているのではないかと考えております。
このところ、イラク戦争や電力需給の問題で、エネルギーについて話題となることが多くなりましたが、今年は、石油危機から30年目を迎える節目の年でもあります。是非、国民の皆さまに、改めてわが国のエネルギーの安定供給について考えていただくよい機会にしていただければと考えている次第です。
◎ 私からは、以上です。