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[フィンランド] フィンランドのオルキルオト3号機、欧州初のEPRとして初臨界達成

2021年12月24日

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は12月21日、オルキルオト原子力発電所で2005年から建設中だった3号機(出力172万kWの欧州加圧水型炉=EPR)(OL3)が同日の午前3時半頃、初めて臨界条件を達成したと発表した。
OL3では今後出力を徐々に上げていき、出力5%、30%、および60%になった段階で起動試験を実施する予定で、その各段階でフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)から許可を得る必要がある。
TVOは2022年1月末に出力25%(30万~40万kW)でOL3の送電を開始し、同年6月からは定常的に発電(営業運転)を行う方針である。
TVOによると、同国で新規の原子炉が起動するのは、1979年のオルキルオト2号機以来、約40年ぶりのことで、欧州においても約15年ぶり。
仏アレバ社(現・フラマトム社)が開発した第3世代+(プラス)のEPRとしては、欧州で最初に臨界に達した原子炉であり、営業運転開始後はフィンランドの総発電量の約14%を賄っていく。
OL3の建設工事は、EPR初号機であるが故の様々なトラブルに阻まれ、当初予定されていた2009年の完成スケジュールは大幅に遅延した。
フィンランド政府は2019年3月、STUKの意見書に基づきOL3に運転許可を発給。
同年7月時点の営業運転開始スケジュールは2020年7月となっていたが、2019年12月には、実施していた試験の遅れやスペア・パーツの欠陥によりスケジュールは2021年3月に繰り延べられた。
その後、TVOは2020年4月に燃料の装荷許可をSTUKに申請したものの、新型コロナウイルスによる感染の拡大により、同年8月に営業運転開始スケジュールを2022年2月に改定。
STUKが2021年3月に燃料の装荷許可を発給したことから、TVOは直ちに装荷作業を開始した。
しかし、一旦2018年に完了した温態機能試験を改めて実施した結果、タービンで総点検を行う必要性が生じ、TVOは今年8月に営業運転の開始は2022年6月になると発表。
それ以降の作業の進展を受けて、TVOは今月8日にOL3 の起動と低出力試験の実施許可を申請、STUKは16日付けでこれを承認していた。
OL3が臨界条件を達成したことについて、TVOのM.ムストネン発電担当上級副社長は「新しい原子炉の起動に向けた我々の粘り強い作業の賜物であり、永遠に人々の記憶に残るだろう」と表明。
「これは原子力産業界のプロ意識と、地球温暖化の防止に向けて行動するフィンランド人の強い意志を反映している」と述べた。
また、フラマトム社のB.フォンタナCEOは「フィンランドの人々に安全で信頼性の高い低炭素な電力を提供する道が開かれた」と強調。
同社は今後、OL3に原子燃料や長期的な運用管理・保守点検サービス等を供給していく予定であることから、「当社が保有する能力のすべてを発揮してOL3を支えていく」と表明している。

(参照資料:TVOの発表資料フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

【情報提供:原子力産業新聞

 

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