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[カナダ] カナダ政府、サスカチュワン州のSMR導入計画に資金提供

2023年9月6日

カナダ連邦政府は8月19日、中西部サスカチュワン州で州営電力のサスクパワー社が進めている小型モジュール炉(SMR)の導入計画に対し、合計で最大7,400万カナダドル(約79億7,200万円)の支援金を提供すると発表した。


その内訳は、天然資源省(NRCan)が「電力の予備的開発プログラム」の中から、最大5,000万加ドル(約53億8,600万円)をサスクパワー社のSMR計画に提供。
このプログラムは、SMRなどクリーン電力の発電プロジェクトにおける予備段階の活動支援を目的としている。
また、環境・気候変動省(ECCC)の「将来電力基金」から、2,400万加ドル(約25億8,600万円)以上をサスカチュワン州政府に提供することになる。


サスカチュワン州政府は、2030年までに州内の温室効果ガス排出量を2005年レベルから50%削減し、最終的には2050年までに実質ゼロ化することを目指している。
この目標の達成に向けた活動の一環として、サスクパワー社は2022年6月、2030年代半ばまでに建設するSMRとしてGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」を選定したほか、州内の建設候補地2地点※も2022年中に選定済み。


同社としてはこの計画を実行に移すかを2029年に最終決定するが、連邦政府からの支援金は同計画を前進させる一助として、予備的エンジニアリング作業や技術面の調査、環境アセスメント、規制関係の調査、関係コミュニティや先住民との協議等に活用する方針である。


連邦政府は、世界がCO2排出量実質ゼロの経済に移行していくなか、カナダが優位な競争力を確保し、カナダ自らの削減目標を達成するには、各家庭や企業に提供する電力の無炭素化を大規模に進める必要があると認識。
SMRのような次世代原子力技術も含め、CO2を排出しない新しい電力インフラの開発プロジェクトはこの移行で重要な役割を担い、カナダのあらゆる地域に経済的繁栄をもたらすと考えている。


SMRに関しては、連邦政府は州内の送電網やCO2を多量に排出する産業の脱炭素化に大きく貢献すると指摘。
出力30万kWのSMRは、それ一基で30万戸の世帯に無炭素電力の供給が可能であり、送電網が届かない遠隔地域のコミュニティが、汚染度とコストの高いディーゼル発電への依存度を低減するにも非常に有効である。


また、CO2を排出しない新しいインフラ開発プロジェクトへの支援は、カナダ全土に安価で信頼性の高いクリーンな電力をもたらすための、連邦政府による包括的アプローチの一部。
このことは、NRCanが8月10日付で公表した発電部門の脱炭素化ビジョン「パワーリング・カナダ・フォワード(Powering Canada Forward)」にも記されている。
この報告書では、2035年までにカナダ中の送電網を安定的に脱炭素化するとともに、各家庭の電気代を低く抑えることを目標にしている。


これらのことから、連邦政府はサスカチュワン州やその他の州が有望な無炭素エネルギー源としてSMRの開発や建設計画を進めるのを引き続き支援。
これらの州が、州民にクリーンで信頼性の高い安価な電力を提供できるよう協力する方針である。


(参照資料:カナダ政府サスクパワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

※ 南部ロアバーン地方自治体内のエルボー村、および南東部のエステバン市。

【情報提供:原子力産業新聞

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