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[バングラデシュ] 初の商業炉用に初装荷燃料が到着

2023年10月19日

バングラデシュ初の原子力発電所として、ロシアの原子力総合企業ロスアトム社が2017年11月から同国で建設中のルプール発電所(出力120万kWのロシア型PWR:VVER-1200×2基)で、1号機用の初装荷燃料が到着したことを記念する式典が10月5日に開催された。


ロスアトム社のA.リハチョフ総裁は、「ロシアとバングラデシュの協力関係は本日、新たなステージに移行する」と表明。
「燃料が到着したことでルプール発電所は原子力施設として認定され、バングラデシュは正式に原子力の平和利用技術を保有する国の一員になった」と強調している。


この燃料供給は、2019年8月にロスアトム社傘下の原子燃料製造企業TVEL社とバングラデシュ原子力委員会(BAEC)が結んだ契約に基づいており、ロシア側はその際、1、2号機の運転期間全般にわたって燃料供給することを約束。
これら2基には第3世代+(プラス)のVVER-1200である「AES-2006」が採用されているため、60年という運転期間に加えて20年間の期間延長が可能である。


1号機用の初装荷燃料は、TVEL社傘下のノボシビルスク化学精鉱プラント(NCCP)が製造したもので、その製造工程とバングラデシュへの輸送では、バングラデシュ原子力規制庁(BAERA)が監督した。
1号機は2024年にも起動する予定である。


電力不足に悩むバングラデシュで、原子力発電所の建設プロジェクトが立ち上がったのはパキスタンから独立する以前の1960年代。
独立戦争や資金調達の失敗等により、何度か浮上した建設計画はことごとく頓挫している。
ロシアは2009年にバングラデシュに原子力発電所の建設を提案しており、翌2010年に両国政府は原子力の平和利用に関する2国間協力協定を、2011年にはバングラデシュ国内の原子力発電所建設に関する協力協定を締結した。
総工費については2基で約127億ドルという情報があり、バングラデシュ内閣は2016年6月、このうちの113億8,000万ドルをロシア政府から信用取引の形で受け取るための政府間協定案を承認したと伝えられている。


ルプール原子力発電所の建設サイトは、バングラデシュの首都ダッカの北西約160 kmに位置するパブナ県。
1号機に続いて、2号機も2018年7月に本格着工しており、両機がともに営業運転を開始すれば同国の電力不足解消と経済成長に寄与する見通しである。


この日の記念式典には、ロシアのV.プーチン大統領とバングラデシュのS.ハシナ首相、および国際原子力機関(IAEA)のR.グロッシー事務局長がオンラインで参加。
このほか、ロスアトム社のA.リハチョフ総裁やバングラデシュのY.オスマン科学技術大臣、世界原子力協会(WNA)のS.ビルバオ・イ・レオン事務局長らが現地で初装荷燃料の到着を祝福した。


プーチン大統領は祝辞のなかで、「ロシアのバングラデシュへの協力は原子力発電所の建設に留まらず、運転期間全般にわたる燃料供給や設備のメンテナンス、放射性廃棄物の扱いなどで支援を提供する」と説明。
高度な技術を身に付けた専門的人材の育成についても、80名以上のバングラデシュ学生がロシアの大学で専門課程を修了するなど訓練をすでに実施中であり、その人数は今後も増えていくと強調している。


(参照資料:ロスアトム社ロシア大統領府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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