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[ポーランド] ポーランド 6地点の米社製SMR建設計画にDIP発給

2023年12月21日

ポーランドで米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の建設を計画しているオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は12月7日、国内6地点における合計24基の「BWRX-300」建設計画に、気候環境省が原則決定(decision-in-principle=DIP)を発給したと発表した。


DIPは原子力発電所建設計画に対する最初の基本的な行政判断で、DIP発給によりこれらのプロジェクトは国家のエネルギー政策に則し、国益に適うと正式に認められたことになる。
今回の発表はOSGE社のR.カスプローCEOが、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された「第1回ネットゼロ原子力(NZN)サミット」の場で発表した。


OSGE社は今年の4月中旬、数十の候補地点の中からSMRの建設サイトとして最も有力な7地点を選定。
今回はこのうち、首都ワルシャワを除いた6地点─北東部のオストロウェンカ(Ostrołęka)とブウォツワベク(Włocławek)、南部のスタビ・モノフスキエ(Stawy Monowskie)とドンブローヴァ・グルニチャ(Dąbrowa Górnicza)、ノバ・フタ(Nowa Huta)それぞれの近郊地点、タルノブジェク(Tarnobrzeg)の特別経済区─で「BWRX-300」の建設が認められた。


同社はこれらのいずれかで2030年にも初号機の完成を目指しており、カスプローCEOは今回、「世界的に見てもポーランドはCO2の排出量が多いため、複数の『BWRX-300』で国内産業や暖房部門にエネルギーを安定供給しながらCO2排出量を実質ゼロ化し、ポーランド経済の脱炭素化を促していきたい」と述べた。


OSGE社は、ポーランド最大の化学素材メーカーであるシントス社のグループ企業シントス・グリーン・エナジー(SGE)社と同国最大手の石油精製企業であるPKNオーレン社が50%ずつ出資して、2021年12月に設立した合弁事業体。
同社は4月下旬、6地点の建設計画についてDIPの発給を気候環境省に申請した。
同じ時期に、米ニュースケール・パワー社製SMRの建設計画でDIPを申請していた鉱業大手のKGHM銅採掘会社に対しては、気候環境省が今年7月にDIPを発給した。


また、同じく7月に気候環境省は、国営エネルギー・グループ(PGE社)の原子力事業会社であるPEJ(=Polskie Elektrownie Jądrowe)社が北部ポモージェ県内で計画している同国初の大型炉(ウェスチングハウス社製AP1000)建設についてDIPを発給。
11月には、同省はPGE社傘下のPGE PAK原子力エネルギー(PGE PAK Energia Jądrowa)社が同国中央部ポントヌフのコニン地区で計画している韓国製大型炉「APR1400」の建設プロジェクトに対しても、DIPを発給している。


なお、OSGE社は11月9日、欧州諸国の石炭火力発電所をSMRに転換しクリーン・エネルギーへの移行を直接支援するという米国務省(DOS)の新しいイニシアチブ「プロジェクト・フェニックス」で、同社が支援対象に加えられたことを明らかにした。
「プロジェクト・フェニックス」では同社のほかに、スロバキア政府が34%出資するスロバキア電力(SE社)とルーマニア国営原子力発電会社(SNN社)にも、SMR建設計画の実行可能性調査や技術支援等で資金が提供される予定である。


(参照資料:OSGE社の発表資料(ポーランド語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月8日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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