FOCUS1

2022.03

豊かな海のめぐみ「常磐もの」
再び福島から全国へ届くように

豊かな漁場に恵まれ昔から漁業が盛んな福島県。震災と原子力事故により一度は操業が停止したものの、関係者の懸命の努力により、試験操業を経て本格操業への段階を着実に進んでいます。徹底した検査の下、どこよりも安全でおいしい「常磐もの」を皆さんも味わってみませんか。

多彩な魚介類

福島の沖合は、暖流(黒潮)と寒流(親潮)が交じり合う好漁場となっています。豊富な栄養に恵まれ、高級魚から日常の食卓に並ぶお手頃な魚まで、200種類以上の多彩な魚介類が水揚げされます。福島の海産物は古くから「常磐もの」と呼ばれ、比較的首都圏に近いこともあり、築地市場などでも高く評価されてきました。

代表的なものとしては、底引き網で獲れるヒラメ・カレイやアンコウ、メヒカリなどが有名です。また、回遊魚であるカツオやサンマなども海流に乗って福島の沖合に多く訪れます。

本格操業へ移行中

東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の後、福島の沿岸漁業は操業自粛を余儀なくされました。漁船や漁港・市場施設などの復旧を進めるとともに、2012年からは試験操業を開始。モニタリング検査で安全性が確認された魚種に限って小規模に操業・販売を行い、本格操業再開に向けたデータを蓄積してきました。

徐々に対象の魚種が拡大され、ほぼ震災前と同様の漁法・漁場利用が可能になったことと、生産・流通体制が一定程度復旧したこと、放射性物質の検査体制が構築されたことなどから、2021年3月いっぱいで試験操業は終了。現在は各漁協が本格操業に向けた道筋を整理したロードマップを作成し、段階的に水揚げ・流通拡大に取り組んでいます。ただ、コロナ禍による飲食業界などの不振もあって、2021年の水揚げ量は震災前(2010年)比で19.2%にとどまっており、今後、水揚げ・流通拡大に向けさらなる工夫や支援が必要といえます。

相馬原釜魚市場での水揚げ 相馬原釜魚市場での販売

相馬原釜魚市場での水揚げ(上)と販売(下)の様子。徐々に活気が戻ってきている 提供:福島漁連

常磐ものを継続的に販売し好評を得ている福島鮮魚便

常磐ものを継続的に販売し好評を得ている福島鮮魚便 提供:福島漁連

厳しい検査で万全に

福島県では県産食品の安全性確保のため、放射性物質のモニタリング検査を実施し結果を公表しています。福島県漁業協同組合連合会(福島漁連)からも毎週検体となる魚介類を提供しています。

加えて福島漁連では、販売日ごとに産地市場において、国よりさらに厳しい基準で1魚種1検体以上の自主検査を行っています。万が一にも国の基準を超える魚介類が流通しないよう、徹底的な検査を行うことで、安全なものだけが流通する体制が構築されています。

福島の魚の魅力知って

福島の水産物に対する風評を払拭していくためには、正確な情報を定期的・継続的に発信していくことが重要です。同時に、おいしい福島の海の幸を多くの人たちに身近に知ってもらうことも大切であり、そのためのさまざまな取り組みが行われています。

大手スーパーのイオンでは、2018年から首都圏の店舗を中心に福島県産水産物の常設鮮魚コーナー「福島鮮魚便」を設置。当初の5店舗から現在は14店舗まで拡大するなど、好評を得て着実に常磐ものの魅力を発信しています。

一方、コロナ禍の中でもテイクアウトやデリバリーを活用するなど、密を避ける工夫を施したさまざまなイベントが実施されています。例として、今年の3月24~27日には都内で「発見!ふくしまお魚まつり東京下町“三大銀座”お弁当ジャック」を開催。戸越銀座(品川区)、十条銀座(北区)、砂町銀座(江東区)の3つの商店街で、福島県産の穴子、ホッキ貝、サンマなどを使ったお弁当を販売します。

また、こうした海産物を含む福島県産品の魅力や首都圏などの販売イベント情報、お得情報などがLINE「ふくしま応援隊」にて発信されています。ぜひご登録ください。

首都圏で開催された常磐ものをPRするイベント

首都圏で開催された常磐ものをPRするイベント。早期に売り切れが出るなど人気を博した

ふくしま応援隊

取扱店さまに聞きました!

  • 大川魚店

    大川 勝正さん

  • 大川 勝正さん

地魚と正しい情報を多くの人に

創業明治43年、いわき市と郡山市に計3店舗を構える大川魚店。「浜のお客さまに愛されるお店」を目指し、素材や製法、手造りにこだわって地元の魚やその加工品などを届けています。

「今後水揚げが増える福島の地魚を、もっと多くの方に食べていただきたい」と話す社長の大川さん。実店舗に加え、ネットショップでも自家製の魚介粕漬やうにみそなど、自慢の逸品を販売しています。また、SNSなどを活用し地魚の入荷状況やおすすめの料理法なども発信しています。

それだけでなく、いわきの復興状況や水産業の状況、地魚の汚染からの回復状況なども積極的に発信してきました。「マスメディアやSNS上の情報と福島の現状に乖離があって、間違った方向に行かないか心配でした。状況を伝え続けることで納得される方が少しずつ増えていき、正しい情報が伝わるようになってきてよかったです」と手応えを感じています。

提供:大川魚店

提供:大川魚店

所在地(四倉本店):福島県いわき市四倉町西3-6-8
ネットショップ:http://www.ookawauoten.co.jp/

  • 日本料理
    徳ふくしま

    菊池 彰吾さん

  • 菊池 彰吾さん

福島には魅力的な食材がたくさん

ミシュランガイドのビブグルマンも獲得した東京・六本木の「日本料理 徳」が2020年、「日本料理 徳ふくしま」としてリニューアル。福島出身の店主・菊池さんや料理長が、福島の食材にこだわった日本料理で福島の魅力を伝えています。

福島は気候風土に恵まれ「海のものから山のものまでなんでもおいしい」(菊池さん)。そんな中でもおすすめの料理の一つが常磐ものの魚のお造りです。お刺身に薬味やあん肝をのせ、のりで巻いて食べるオリジナルのスタイルには、常磐ものに合ったより旨味を感じられる食べ方を求めてたどり着きました。

来店する方たちは福島の食材がしっかり検査されていて安全だとわかっている人が大半だそうですが、今後はさらに「若い人たちなどにも魅力や安全性をアピールしていきたい」という菊池さん。「福島からの電力の恩恵を受けた者として、微力でも福島の方々の力になれれば」との思いを話してくれました。

常磐もののマダイ、シラウオ、ホウボウのお造り

常磐もののマダイ、シラウオ、ホウボウのお造り

所在地:東京都港区六本木5-18-20 六本木ファイブビル1F
ホームページ:http://www.fukushima-ya.com/

YouTube動画「暮らしを止めないために」篇のご紹介

  • シンガーソングライター「Unknöwn Kun(アンノウンクン)」の新曲に乗せて、電気の大切さや私たちの「電力の安定供給にかける想い」をお伝えする新しいYouTube動画を公開しました。

    実際にSNSに投稿された動画を元に制作しておりますので、ぜひご覧ください。

    サイトはこちら
    https://www.youtube.com/watch?v=OcpnnBjNxbU

  • YouTube動画「暮らしを止めないために」篇

エネルギー・環境教育支援サイト「ENE-LEARNING」のご紹介

  • オンラインですぐに活用できる教材やお役立ち情報、エネルギー・環境教育に関するコラムなどをご紹介しています。

    身近な場所・施設の中で活用されている“電気”を紹介する動画も新たに公開しましたので、ぜひご覧ください。

    サイトはこちら
    水族館
    https://www.youtube.com/watch?v=gUGhU3wKT24

    野菜工場
    https://www.youtube.com/watch?v=_0KgaD-RtUk

  • エネルギー×地球温暖化 ~水族館~

    エネルギー×地球温暖化 ~水族館~

    エネルギー×食料の安定供給 ~野菜工場~

    エネルギー×食料の安定供給 ~野菜工場~

SDGsの達成に向けた「地域共生の取り組み」のご紹介

  • 私たち電気事業者は、電力の安定供給に取り組むだけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた地域共生活動に全国各地で取り組んでいます。

    各取り組みについて、電事連ホームページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。

    サイトはこちら
    https://www.fepc.or.jp/sp/social/

  • SDGsの達成に向けた「地域共生の取り組み」のご紹介