FOCUS1

2022.07

今夏の電力需給、厳しい状況に
需給両面で総合的な対策

今夏の電力需給は厳しい見通しとなっています。6月26日~30日、6月としては異例の猛暑日が続いた東京エリアでは、経済産業省資源エネルギー庁から「電力需給ひっ迫注意報」が発令されました。今後も予断を許さない状況が続く中、電力業界では引き続き供給力確保などの取り組みを進めてまいりますが、皆さまも熱中症にならないよう十分にご注意いただきつつ、無理のない範囲での節電へのご協力をお願いいたします。

供給側は対策総動員

今夏の電力予備率は、2017年度以降で最も厳しい見通しとなっています。これは10年に一度の猛暑を想定した場合になりますが、3月の福島県沖地震の影響で、現在も一部の火力発電所が停止しており、供給力が目減りしていることが影響しています。また、再生可能エネルギーの大量導入によって稼働率が落ち、採算が悪化した火力発電所の休止・廃止が増加していることなども背景にあります。

電力業界ではこうした状況を踏まえ、火力発電所の運転計画を見直すなど供給力を積み増ししてきました。

また、原子力発電所についても、当初予定よりも2カ月早い8月に運転を再開する関西電力美浜発電所3号機などが貴重な戦力となります。

さらに追加対策として、一般送配電事業者では、休止中の電源立ち上げなどに対価を支払う「供給力公募」(キロワット公募)を行い、計135万7,000kWを落札案件として選定しました。そして、休止していたJERAの姉崎火力発電所5号機や知多火力発電所5号機を立ち上げる取り組みも行われました。

しかし、ここ数年の電力需要は事前に想定されていた最大需要を上回ることも増えています。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻後の状況変化で、安定的な燃料調達への影響も懸念されおり、引き続き予断を許さない状況が予想されます。

さらに、今年度は冬も厳しい電力需給が予想されており、既に冬に向けた検討も始まっています。

2022年度 予備率(%)

資源エネルギー庁資料より作成(6月30日時点)

需要側の取り組み

こうした厳しい需給状況を乗り切るには、供給側の取り組みに加えて需要側の取り組みが欠かせません。政府が6月7日にまとめた電力需給に関する総合対策でも「需要側での対応を促すため、節電の取り組みを積極的に進める」とされました。電力会社の間でも、節電にご協力いただいたご家庭にポイントを付与するなど、デマンドレスポンスの取り組みも広がっています。政府は、これらの取り組みに参加する家庭にポイントの上積みを付与する支援策も表明しています。

政府の対策では、厳しい需給が想定される冬に向けて、大口需要家の電気の使用を制限する「使用制限令」の検討も行うこととされました。制限令は過去に、オイルショックや東日本大震災を受けて発令されたことがあります。

また、大規模停電を回避するための最終手段である計画停電についても、準備状況を確認するとしています。

デマンドレスポンス:
需要側が電気の使い方を工夫して需給バランスの調整に協力すること

節電へのご協力を

政府は7月から9月末まで、数値目標を設けない節電を全国に要請しています。夏季において特に節電が求められるのは、太陽光発電の出力が落ち、電力需要が増える夕方から夜のはじめ頃にかけての時間帯です。皆さまにおかれましては、エアコンを上手に活用いただきながら、無理のない範囲での節電へのご協力をお願いいたします。

なお、一般送配電事業者と経済産業省は需給見通しが厳しくなった場合には、次のような流れで情報発信を行うこととしています。

前々日の段階で、予備率が5%を下回ると予想される場合には、一般送配電事業者から「電力需給ひっ迫準備情報」が発信されます。

前日段階で5%を下回ると予想される場合は「電力需給ひっ迫注意報」、さらに3%を下回ると予想される場合は「電力需給ひっ迫警報」がそれぞれ経済産業省から発令されます。なお、「準備情報」と「注意報」は、今年の5月に新たに設けられた制度です。

極めてまれな暑さとなった6月最終週は、26日に27日の東京エリアを対象とした「注意報」が初めて発令されました。27日には29日の北海道、東北、東京エリアを対象とした「準備情報」も初めて発信されました。

需給ひっ迫時の情報発信の流れ

電気料金が上昇

現在、電力需給とともに懸念されるのが電気料金の上昇です。ウクライナ情勢を踏まえた世界的な化石燃料価格の高騰、円安の進行により、至近の大手電力会社10社の電気料金は高い水準で推移しています。

ただ、日本のエネルギー価格の上昇率は欧米よりも抑制されています。これは、日本では原油価格と連動した長期契約でLNGを調達している割合が相対的に高く、輸入価格が比較的安価に抑えられたことが影響しています。

また、燃料価格の変動を電気料金に反映する「燃料費調整制度」の仕組みが導入されています。同制度は、過去3カ月間の燃料価格の平均を算定して2カ月後の電気料金に反映させるものです。お客さま保護の観点から、電気料金に反映する燃料価格には一定の上限が設定されていますが、現状、多くの電力会社でその上限に到達した状態が続いています。

図:一般家庭(平均モデル)の電気料金の推移(東京電力エナジーパートナー)

東京電力エナジーパートナーのデータをもとに作成

家庭でできる節電のポイントは?

  • この夏、皆さまのご家庭でもすぐに取り組んでいただける節電方法には、冷房を起動させる部屋を1カ所にして家族で集まるクールシェアリングなどがあります。

    中長期的な対策としては、省エネ性能の高い家電への更新、建物の高気密化や高断熱化を行うといったことなどが考えられます。

    電気事業連合会のホームページにあるポータルサイトも参考に、無理のない範囲での節電へのご協力をお願いいたします。

  • 省エネ・節電お役立ち情報
    各エリアの需給状況や
    関連コンテンツはこちら

    電気事業連合会ホームページ

    【節電情報ポータル】
    電力需給状況と節電へのご協力のお願いについて

    サイトはこちら

    https://www.fepc.or.jp/sp/setuden/

    ご家庭でできる
    省エネ・節電情報はこちら

    電気事業連合会ホームページ

    「省エネ・節電お役立ち情報」

    サイトはこちら

    https://www.fepc.or.jp/sp/powersaving/

特設サイト「災害にそなえて」のご紹介

  • サイトでは、地震や台風などの災害への備えや、発生時の注意点をご紹介するとともに、各エリアの停電情報ページ(各送配電事業者サイト)へのリンクも掲載しています。ぜひご活用ください。

    サイトはこちら
    https://www.fepc.or.jp/sp/bousai/

  • 災害にそなえて

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  • 日常の風景にある電力