FOCUS1

2023.01

日本原燃の再処理工場
「2024年度のできるだけ早期」のしゅん工へ

エネルギー資源に乏しいわが国は今後も原子力発電を持続的に活用するとともに、ウランなどの燃料資源を有効利用するため、原子燃料サイクルの実現を目指しています。その要となるのが、日本原燃がしゅん工・操業開始を目指す「再処理工場」(青森県六ヶ所村)です。安全審査の対応や安全性向上対策工事が大詰めを迎えている再処理工場の現況をご紹介します。

安全性向上対策工事は概ね完了

日本原燃は2022年12月、再処理工場のしゅん工時期を「2024年度上期のできるだけ早期」とする計画を公表しました。2022年9月にはしゅん工時期を「未定」としていましたが、施設の詳細設計に当たる「設計及び工事計画認可」(以下、設工認)の審査が一定程度進捗し、具体的なしゅん工時期を公表するに至りました。

新規制基準に対応した安全性向上対策工事の主要な工事も概ね2022年内に完了しています。例えば竜巻対策では、「主排気筒」の屋外配管やダクトなどに鋼鉄製の防護板を設置するといった工事を行いました。

一方、安全性向上対策として追加した設備を既設設備につなぎ込む工事などは、設工認の後でなければ実施できず、計画通りのしゅん工実現には原子力規制委員会の認可が必要です。

日本原燃は設工認申請を2回に分けており、2020年12月に行った分割1回目の申請は2022年12月に認可されました。最終となる分割2回目の申請は同月に行われており、引き続き審査が進められる見込みです。

主排気筒:再処理工場の各建屋から発生する気体状の放射性物質をフィルタ等で低減し、管理しながら放出する設備

再処理工場しゅん工までの流れ

MOX燃料工場も前進

再処理工場で取り出したウランやプルトニウムを使ってMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を製造する「MOX燃料工場」も、同様に審査が進んでいます。設工認は4分割のうち1回目の分割申請が昨年9月に認可され、日本原燃は同月から建設工事を本格化させています。今後は分割2〜4回目の申請および認可取得と2024年度上期のしゅん工を目指します。

両工場の審査を効率的に進めるため、日本原燃は担当者の執務スペースを一か所に集約化するなど、関係部署間の情報共有や連携を強化する取り組みを行っています。また、電気事業連合会と原子力事業者も「サイクル推進タスクフォース」を立ち上げ、審査対応を技術面・マネジメント面で支援。国内での原子燃料サイクル実現に向け、関係者一丸となって着実な歩みを進めています。

重大事故対策の拠点として新設した緊急時対策所

重大事故対策の拠点として新設した緊急時対策所

原子燃料サイクルの重要性

エネルギー安定供給の強化

ウランは比較的政情の安定した国から輸入されていますが、燃料をリサイクルすることで、ウラン燃料の利用効率を高めるとともに、ウラン燃料の需要に左右されづらくなり、エネルギーの供給安定性がさらに強化されます

廃棄物の減容化・有害度低減

使用済燃料を直接処分する場合と比べて、高レベル放射性廃棄物の量を約4分の1に減らすことができ、放射線の有害度が天然ウラン並みになるまでの期間を約10万年から約8000年(約12分の1)に短縮できます

プルトニウムの消費

日本は原子力の平和利用の観点から、利用目的のないプルトニウムを持たないことを国際的に表明しており、原子燃料サイクルを通じて、発電によって生成されたプルトニウムを再び燃料として消費することができます

INTERVIEW | 瀬川智史さん

原子力のメリット最大化へ
規制対応通じて安全深掘り

原子力規制委員会の審査対応などを通じ、高い安全性を有する再処理工場の実現に取り組んできた日本原燃の瀬川智史さん。「もともとあった安全対策におごることなく、こうなったらどうするかという自らへの問いかけを繰り返すことで、安全防護を多重化・強化しています」と話します。

瀬川さんは日本原燃で長年、再処理工場の安全評価に携わってきました。新規制基準施行後は、再処理工場の事業変更許可の審査対応に従事し、これまでの経験を生かして、安全防護に関する基本設計方針の取りまとめに尽力しました。

事業変更許可取得以降は、基本設計方針に込めた思想を実際の設備設計に展開するべく、設工認申請書の記載内容適正化に鋭意取り組んでいます。

「ウクライナ危機でエネルギーに対する関心が強まる中、原子力の有効活用を通じたエネルギーの安定供給に貢献できるよう、再処理工場の早期しゅん工と操業開始を実現したいです」と瀬川さん。再処理の意義を胸に刻み、足元の許認可審査対応に全力で取り組んでいく覚悟です。

瀬川智史さん

瀬川智史さん

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