FOCUS2

2024.03

福島第一、デブリへのアクセスルート構築へ
処理水海洋放出も開始

東京電力福島第一原子力発電所の事故から13年が経ちました。廃炉に向けた作業が進む福島第一原子力発電所では、事故当時運転中だった1~3号機の燃料デブリ取り出しに向け、2号機での試験的取り出し作業の準備が進められています。また、ALPS処理水の海洋放出が2023年8月から始まっています。発電所の現況と、風評懸念払拭に向けた魚食振興の取り組みをご紹介します。

燃料デブリ取り出しに向けて

燃料デブリを採取して性状を把握することが今後の取り出しに向けて重要です。そこで、試験的取り出し作業着手に向けて、ロボットアームなどの取り出し装置の投入口と考えていた原子炉格納容器貫通孔のふたを開放しましたが、貫通孔内側が溶けたケーブル類の被覆などとみられる堆積物でふさがれていたため、まずはこれらの除去作業を進めています。

並行して、過去の原子炉格納容器内部調査で使用した、筒が伸縮する構造のアームに燃料デブリ採取ツールを組み合わせた装置を、遅くとも2024年10月ごろに投入することになりました。あわせてロボットアームの信頼性向上にも取り組み、原子炉格納容器内部調査及び燃料デブリ採取を行う方針です。

貫通孔(X-6ペネ)

貫通孔(X-6ペネ)

廃炉作業を着実に進めていくために

処理水用タンクを解体して、廃炉作業に必要な施設・設備を建設する敷地を確保できるよう、ALPS処理水の海洋放出も2023年8月から始まっています。2023年度は計4回で約3万1200トンを放出。2024年度は計7回で約5万4600トンを放出する計画です。

海洋放出は、ALPSでトリチウム以外の放射性物質の濃度が国の規制基準値を下回るまで浄化した処理水のみを対象としており、トリチウムの濃度は国の環境放出の規制基準(1リットルあたり6万ベクレル)、世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドライン(1リットルあたり1万ベクレル)を下回る1リットルあたり1500ベクレル未満になるまで海水で希釈した上で行っています。周辺海域のモニタリングデータはホームページなどで公開されています。
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なお、ALPS処理水の海洋放出に伴う福島県やその近隣県を含めた全国の水産加工品の風評懸念払拭のため、電気事業連合会では魚食振興に取り組んでいます。直近では、2024年2月22~25日に開催された「SAKANA&JAPAN FESTIVAL2024 in 代々木公園」に協賛。会場では「発見!ふくしまお魚まつり」も同時開催され、来場者の皆さまに、「常磐もの」と呼ばれる福島県産の魚介を使用した料理や、石川県の「能登かき」、北海道や三陸のホタテなどの料理を堪能していただきました。

電気事業連合会では今後も引き続き魚食振興に取り組んでまいります。