GREETING
2024.05
ご挨拶
課題解決に向けて使命を果たす
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本年4月、電気事業連合会の会長を拝命いたしました。将来におけるエネルギーのあるべき姿の実現に向けて、解決しなければいけない課題が山積する中で、会長という大役を仰せつかることとなり、責任の重さに身の引き締まる思いです。
エネルギーの変革期において
近年、電力やエネルギーを取り巻く環境は大きく変化しています。国内では、電力自由化の進展により、競争環境が拡大する一方で、原子力発電所の稼働遅れや、急激な再生可能エネルギーの増加、火力の退出などにより、供給力不足が常態化するなどの課題が顕在化しています。また世界においては、脱炭素の潮流が進む中で、ロシアによるウクライナ侵攻など地政学上の影響から、燃料確保など、エネルギー安全保障の問題に直面しています。
こうした変革期において、業界が果たす役割は大変大きく、電気事業連合会が掲げる「電気事業の健全な発展を図り、もって我が国の経済の発展と国民生活の向上に寄与する」という使命を果たすべく、先導してまいる所存です。
今年は重要な課題が続いていきます。中でも、国の根幹となるエネルギー政策の議論においては、エネルギー基本計画の見直し、電力システム改革の検証が並走します。こうした議論を通じて、現状の課題を再確認し、あるべき姿を追求するために、実務を担う事業者として、検討に最大限協力してまいります。
また、私どもとしましては、足元の安定供給はもとより、脱炭素を目指しながら、将来に向けて供給力を確保していく取り組みが大変重要になります。その切り札の一つとして、原子力の最大限の活用が不可欠となりますが、稼働済のプラントの継続的な安全・安定運転、今後予定されておりますBWRプラントの再稼働、そして、バックエンド事業の推進など、取り組むべき課題は多岐にわたります。こうした課題にしっかり対応するとともに、絶え間ない安全性の向上や理解活動に邁進してまいります。
信頼回復に向けて
一方、昨年は、独占禁止法遵守に向けた取り組みや、顧客情報の不正閲覧を踏まえ、体制やルール作りなどを進めてまいりました。4月から組織を見直し、新たな体制で、活動をスタートさせましたが、こうした取り組みはもとより、安定供給の使命を果たしていくことの両面において、真摯に取り組みを続けることで、社会の皆さまから信頼をいただけるよう努めてまいります。
電力という財は、産業の発展や国民生活になくてはならない、いわば社会の血液です。この電力を、安定的に、少しでも安価にお客さまに送り続けること、そして、カーボンニュートラルを同時達成していくこと、この命題の解決と実現に向け、電力各社の社長と力を合わせて、業界を盛り立てていきたいと思います。そして、日本のインフラを支える電力業界を、魅力のある業界にしていきたいと思います。
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電気事業連合会 会長
林 欣吾
Kingo Hayashi