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2024.03

エネルギーの将来占う1年
足元の課題を踏まえた議論に期待

エネルギー基本計画
電源構成巡る議論に注目

2024年は、わが国の将来のエネルギー需給構造を占う重要な1年になります。

わが国のエネルギー政策の基本的な方向性を示すエネルギー基本計画は、現行の第6次計画が策定された2021年10月から3年を迎えます。「少なくとも3年ごと」に行うこととされている検討の場では、近年の電力需給ひっ迫や卸電力価格の高騰、ますます強まる脱炭素化の要請、エネルギーを巡る国際情勢などを踏まえ、次期計画の策定に向けた議論が行われることになりそうです。
特に、電源種別の検討で原子力をどのように位置づけるかが注目されます。第6次計画では原子力について「必要な規模を持続的に活用」しつつ「可能な限り原発依存度を低減する」としていますが、政府は原子力の利活用に舵を切っており、原子力の位置付けや電源構成に占める割合はどうなるのか、注目が集まります。

また、再生可能エネルギーである大気熱を利用したヒートポンプの拡大など、電化の進展程度の明確化とそれに伴う将来的な需給状況の変化を踏まえた想定を行うことが望まれます。

将来的な電力需給検討
現実的なシナリオを

電化の進展やデジタル化への対応としてのデータセンターの建設増などから、わが国の電力需要は増加していくと考えられます。中長期的な供給力を確保し、安定供給を維持するためには、基礎となる長期の電力需給の見通しが必要です。そこで2023年末から、電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」で、具体的なシナリオの検討が進められています。検討会で策定するシナリオは、発電事業者の計画的な電源開発などに役立てられる見通しです。安定供給を持続できる設備形成に向けて、現実的な電力需要想定が示されることが期待されます。

電力システム改革の検証
電源投資を促す環境整備を

2023年末から経済産業省の電力・ガス基本政策小委員会で行われている電力システム改革の検証も本格化する見通しです。2020年に完了した一連の電力システム改革では、広域機関の設立による全国大での需給調整機能強化、電力の小売り全面自由化による消費者の皆さまの選択肢拡大といった成果が得られました。一方、再生可能エネルギーが急速に大量導入されたことも影響して非効率な火力発電所の退出が進んだほか、中長期的な投資回収の予見性を必要とする電源投資が停滞したこともあり、近年は供給力や調整力の低下に伴う電力需給ひっ迫が常態化しています。

電源投資の停滞に対しては、市場制度面で容量市場や長期脱炭素電源オークションなどの手当が進みつつありますが、現在の制度が持続的な発電事業を可能とするのに十分であるかどうかは引き続き検証していく必要があります。実務を担う事業者としましては、電力システムの再構築に向けて、一連の検証について最大限協力してまいります。

電気事業連合会Webコンテンツのご紹介

原子力発電所でのリサイクルの取り組み

  • 原子力発電所から出る廃棄物も家庭のように分別することで、一般の廃棄物と同じように資源としてリサイクルできます。

    本動画では、運転を停止した原子力発電所の解体作業から出る金属の廃棄物が、厳格な放射線測定を経て、リサイクルされる様子を紹介していますので、ぜひご覧ください。

    動画はこちら
    https://www.fepc.or.jp/sp/housyasen/

  • 原子力発電所でのリサイクルの取り組み 動画イメージ1 原子力発電所でのリサイクルの取り組み 動画イメージ2