- BNPパリバ証券
グローバルマーケット
統括本部副会長 - 中空 麻奈氏Mana Nakazora
2025.03
新エネ基は
カーボンニュートラルへ現実的な解
目標達成へ国はコミットを
BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈氏は、第7次エネルギー基本計画について「安定供給確保に大きく乗り出した」「より現実的にカーボンニュートラルを目指せる内容になった」と評価します。今後はその実行が重要になりますが、事業者が投資などの判断を迷わないよう、国がコミットする(責任を持って取り組む)ことが鍵になると強調します。
新しいエネ基は、安定供給確保に大きく乗り出してきたと思います。エネルギーの安定供給がなければ、安定的な経済成長はできません。これからの日本の成長にはAIや半導体といった産業が重要になります。特にデータセンターは、電気を大量に消費するため、電力需要が将来増える想定をしっかり示したことは今回のエネ基の一つのポイントだと思います。また、2040年の電源構成については、各電源の比率を幅を持たせて示すことで、より現実的にカーボンニュートラルを目指せるようになりました。
2040年までに発電電力量の2割を原子力発電にすることが必要と言った以上は、国は実現に向けて確実にコミットする必要があります。そうすれば事業者や金融機関は迷わず電源投資をおこない、力強い動きができますし、原子力の分野に優秀な人材が集まりやすくなると思います。
国際情勢をみると、トランプ米大統領就任により化石燃料採掘が拡大する動きがありますが、化石燃料利用でCO₂を出し続けると地球環境にとって大問題です。米国が独走する場合、日本を含む各国が「それは違う」と言うべきです。
そこでカーボンプライシングにより、資本市場の論理でCO₂排出削減を図ることが望まれます。今のところ人々は電気に関して、どのように作られたかよりも価格を重視します。CO₂排出に価格を付け、電源によってエネルギーの価格体系が変わるようにしなければ、米国も考え方を変えないと思います。
日本には率先した技術開発が望まれます。小型原子炉、次世代太陽電池に加えて、CO₂の排出を極力抑えた火力技術といったものが日本発でできれば、この上なく素晴らしいことです。
(2025年1月29日インタビュー)
PROFILE
慶応義塾大学経済学部卒。野村総合研究所入所。郵政省郵政研究所出向、野村アセットマネジメント、JPモルガン証券などを経て2008年BNPパリバ証券にクレジット調査部長として入社。2020年2月からグローバルマーケット統括本部副会長。税制調査会、国税審議会などで委員、経済財政諮問会議で民間議員を務める。
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