• 経済産業省
    放射性廃棄物対策課長
  • 横手 広樹YOKOTE HIROKI
VOICE

2026.07

さらなる文献調査地の拡大へ
若年層へのアプローチも

高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定にあたり、理解の獲得や文献調査地のさらなる拡大のために何が必要なのか、経済産業省放射性廃棄物対策課長の横手広樹氏にお話を伺いました。

昨年末に北海道、新潟県知事から原子力再稼働への理解表明がなされた際、国に対し「バックエンド(使用済燃料の処理や原子力施設の廃止に関する工程)の重要性を、消費地に向けてしっかり発信を」との要望を頂きました。これを受け1月に赤沢亮正経済産業相から全国の知事に対し「処分地の選定に向けた調査について、地域任せにすることなく、国の責任で地域に協力をお願いしていく」という内容のレターを送りました。文献調査は地域から手が挙がることが望ましいですが、それが地域にとって負担であるのも事実です。このほど小笠原村・南鳥島に受け入れて頂くことが決まりましたが、国が説明責任を負ってお願いをする新しいアプローチを行ったことは非常に意味があると考えています。

文献調査を受け入れて頂いた自治体には、議論に必要な情報をしっかり提供していくことが大事と考えています。小笠原村からは自然環境や輸送など、多様な専門家の意見を聞きたいという要望を受けています。推進側の意見だけでなく、さまざまな意見を聴ける機会を設定し、情報提供をしっかり実施したうえで、地域の方々との対話を進めることが重要と考えています。

選定プロセスにおいて科学的適性を慎重に見極めるためには、複数地点で調査・評価を行うことが不可欠です。先行するフィンランドやスウェーデンなどでも5〜10の候補地から段階的に絞り込んでいます。文献調査地をさらに増やすために、全国の自治体を訪問して、最終処分の必要性をご説明する「全国行脚」の取り組みなどを地道に続けていきます。

原子力発電は、脱炭素と電力の安定供給を支える重要な役割を担っており、その結果として生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分は、特定の人や特定の地域の問題ではありません。電気を使う人全員の問題です。国民の皆さま一人一人に「自分ごと」と捉えて頂けるよう、取り組んでいきます。 最近は特に、若年層へのアプローチに力を入れています。最終処分は学生にとってさまざまな角度から考えられる課題でもあり、教育の一環として取り組んでもらえると、もっと関心が広がっていくのではないかと考えています。都市でシンポジウムを行ったり、新聞広告を出したりするだけでなく、世代ごとの特性に合わせたアプローチで情報を発信し、考えて頂く機会を作っていくことが重要であると感じています。

(2026年6月2日インタビュー)

PROFILE

2001年京都大学工学部物理工学科卒業。03年京都大学院工学研究科機械工学専攻修了。同年経済産業省入省(製造産業局参事官室)。08年米国留学(デューク大、ミシガン大)。経済産業省大臣官房政策企画委員(産業保安担当)、産業技術環境局資源循環経済課長、JOGMECロンドン事務所長などを経て現職。