◎ 本日は、部分自由化を目前に控えて、中部電力社長として、競争時代に臨む当社の考え方と、先月の会見でもご質問をいただいた電気事業連合会の今後のあり方について申し上げたい。
○ いよいよ来週から、特別高圧のお客さまを対象とした小売 り自由化がスタートする。 厳しい競争になると思うが、各電力会社とも、引き続きお客さまから選択していただけるよう、お客さまニーズにあった様々なメニューやサービスの充実、経営体質の強化等に積極的に取り組み、公明・公正な競争に努めてまいる決意である。
○ 私ども中部電力でも、「お客さまをとられない」という守りの姿勢ではなく、新規参入者同様「お客さまを獲得していく」というチャレンジャーの気概を持って、新時代を切り拓いていきたいと考えている。
○ 競争市場では、お客さまはもとより、株主や投資家など、多方面からの評価を常に意識して経営を行うことが、これまで以上に求められる。 このため、当社では、つぎの2つの視点に立って経営諸施策を展開していきたいと考えている。
○ 1点目は、「収入の変動リスクに対応できる事業運営体制 の確立」である。 競争の進展に伴い、これまでのような安定的な収入は保証されなくなる。このため、今後は、中長期的な収入の変動を前提にして、いかなるシナリオの下でも目標とする利益が確保できる体制を確立することが重要と考えている。
○ こうした観点に立ち、当社では中期的な経営目標として、
o向こう3か年平均で、販売電力料2兆500億円程度、経常利益1,200億円程度を確保することや、
o有利子負債を平成16年度末までに4兆円を下回る水準に削減すること
o株主資本比率を平成16年度末までに20%とすること、などを既に公表しているが、今後、これらの目標を達成するために、サービスメニューの充実や、電気のご使用に関するコンサルティング・ガイダンスなど、お客さまの立場に立った工夫を行い、マーケティングを強化してまいりたいと考えている。 また、そうした営業面の努力とともに、長期的な利益をリスク管理の視点からしっかりと睨んで、設備投資計画をはじめ、業務運営全般の見直しにも柔軟に取り組んでまいりたいと考えている。
○ 2点目は、「中電グループ全体の収益力の強化」である。 今回の電気事業法改正により兼業規制が廃止され、当社も事業拡大のチャンスが広がった。また、会計制度の国際標準化により、今後はグループ全体の収益力が市場での評価対象となる。
○ こうしたことから、当社では、グループ経営の再編に向けたグランドデザインを描き、収益性の高い分野に要員を積極的にシフトするなど、グループ全体の経営資源の配分を見直していきたいと考えている。 これにあわせて関係会社の位置づけや役割も見直すこととし、この2月1日に企画部内に事業戦略グループを発足させて、本業を含むグループ全体のあるべき姿について検討を行っている。 ○ なお、今後厳しい競争を行っていくなかで、当社の最大の強み・財産は、やはり長年にわたる安定供給やユニバーサルサービス、地域への貢献などを通して培われた、お客さまからの信頼感であると考えている。 当社は、こうした地域社会からの信頼を大切な経営資源として、くらし、そして産業や地域の発展にお役に立つ「総合エネルギー企業」を目指し、より一層努力してまいりたいと考えている。
◎ つぎに、私ども電気事業連合会のあり方についてであるが、今後は、自由化のお客さまを巡って新規参入者と電力会社、あるいは電力会社同士がライバルの関係になる。こうしたことから、現在9つの電力会社からなる電事連の活動についても、そうした時代に即して、より高い透明性や公平性が求められる。
○ もちろん、その一方で、自由化の対象とならない7割のお客さまに対する供給責任やユニバーサルサービスは、これまでどおり果たしていかなければならないし、エネルギーセキュリティーの確保や、原子力開発とりわけ原子燃料サイクルの確立やバックエンド対策の推進、あるいは地球温暖化への対応など公益的な課題についても、各電力会社が協力して取り組んでいかなければならない。○ こうした点を踏まえ、このたび、電事連の役割や位置づけを明確にするとともに、適正取引の観点から業務内容をチェック・整理した。
○ お手許の資料をご覧いただきたい。 まず、役割・位置づけであるが、電事連は、これまでどおり、公益的課題の達成を目指し、その担い手である「一般電気事業者」で組織する事業者団体とする。 なお、これを機にこれまでオブザーバーであった沖縄電力さんにも新たに会員に加わっていただき、一般電気事業者 10社からなる組織体となる。
○ つぎに業務内容についてであるが、従来から独禁法の趣旨を踏まえた活動を行ってきており、今回チェックした結果でも、特段の変更は必要ないと考えている。 しかし、透明性を一段と高めていくという観点から、お手許の資料のとおり、引き続き取り組む業務を明確にし、会員同士が集まる場である会議体についても、運営を効率化することでその数を46から19に整理し、その設置状況を公表することとした。
○ なお、事務局の組織や要員については、業務量がすぐに大きく変わるわけではなく、また3年前に、部門の統廃合や要員の2割削減など、組織の簡素化・合理化を実施したところでもあるので、今回は変更せず、今後の検討課題とすることにした。
○ 沖縄電力も加わり、これで電事連も、名実ともにわが国の一般電気事業者の団体となったわけで、気持ちを新たに、業界をあげて公益的な課題の達成に取り組んでまいりたいと考えている。また、そうした私どもの活動が、社会から、不透明でわかりにくいと誤解されることのないよう、ホームページなどもより積極的に活用して、私どもの活動などについてこれまで以上にオープンな情報提供を心がけてまいりたいと考えている。
○ ところで、私ども電気事業者は、電事連のほかに、広域運営にかかわる電源の共同開発・電力融通・送変電設備の共同運用、あるいは技術開発や災害時における資機材の融通や要員の応援などを円滑に行うため「中央電力協議会」という組織を作っている。 会員は、広域運営のための送変電設備を有している9電力会社および電源開発で、私が会長を兼務している。
○ こうした中電協の機能は、公益的課題を達成するために、部分自由化以降も不可欠なものであり、今後、電事連と同様に、業務の一層の透明性が求められる。
○ 例えば、昨年12月に、通産省と公正取引委員会が公表した「電力の適正取引に関する指針」でも、「経済融通取引に電力会社以外の新たな参加希望者があれば、これに積極的に応じていくことが、更なる透明性・公平性を高めていくことにつながり、公正かつ有効な競争の観点から望ましい」とされている。
○ 私どもとしても、経済融通への新たな参加希望に対し積極的に応じていくことは当然のことと考えており、既存の電力会社との間に不公平が生じることのないよう、具体的な条件整備等を図っていきたい。
○ 私からは以上。