実現に向けた
プラン

  • 01

    再生可能エネルギー

    確立した脱炭素電源の最大限の活用

    背景となる課題認識

    2050年カーボンニュートラルを実現するためには、再エネの最大限の導入により主力電源化をはかる必要があります。
    また、再エネ開発の取り組みは、カーボンニュートラルに資するのみならず、電力各社にとって中長期的な経営戦略における成長領域の一つとして位置づけられ、更なる取り組みの加速が必要です。

    取り組みの方向性

    再エネ主力電源化に向けて、電気事業者として培った技術・経験・ノウハウを活かしながら、自ら再エネの最大限導入を進め、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいきます。
    再エネの導入を成長の機会と捉え、各社グループ内外の発電事業者、他業界のビジネスパートナー、国、研究機関等と連携し、課題の解決に向けて全力で取り組んでいきます。

    取り組みに必要な条件・政策

    • 再エネ適地拡大に資する規制改革
    • サプライチェーン全体のコストダウンを促進する施策
    • 地元理解醸成を促進する施策

    アクションプラン/ロードマップ

    技術・経験・ノウハウを活かしながら、主力電源化に向けた最大限の導入に取り組みます。

    • 電力各社における
      再エネ導入目標と取り組み概要

      会社 再エネ導入目標 取り組み概要
      北海道
      電力
      2030年度までに30万kW以上の増
      • 洋上風力発電事業への参画(石狩湾洋上)
      • メキシコ最大級の太陽光発電事業への参画
      • 水力発電のリパワリング(新得発電所)
      東北
      電力
      東北・新潟エリアを中心に200万kWの開発
      • 水力発電の新規開発(玉川第二発電所、新上松沢発電所)
      • 洋上風力発電事業への参画(つがる洋上、秋田県北部洋上)
      • 地熱発電所の更新・新規開発(松川地熱発電所、木地山地熱発電所)
      東京
      電力
      2030年代前半までに国内外で600~700万kWの新規開発
      • 国内水力発電のリパワリング
      • 海外水力の開発(ダリアリ発電所、コクサン発電所)
      • 洋上風力発電事業への参画(銚子沖洋上、秋田県北部洋上)
      中部
      電力
      2030年頃に200万kW以上の開発
      • 水力発電所の新規開発(安倍川水力、清内路水力)
      • 風力発電所の開発・事業参画(秋田港・能代港洋上、あつみ陸上)
      • バイオマス発電所の開発(八代、御前崎港、米子)
      北陸
      電力
      2030年代早期に再エネ開発量を+100万kW以上(+30億kWh/年以上)
      (2018年度比)
      • 水力発電の新規開発や既設設備の改修
      • バイオマス混焼比率の増加(七尾大田火力2号機・敦賀火力2号機)
      • 風力・太陽光等の新規開発
      関西
      電力
      2030年代に600万kWとする(国内外で200万kW以上新規開発)
      • 水力発電所の開発(新打保発電所、新坂上発電所)
      • バイオマス発電所の開発(相生発電所2号機、福島いわき発電所)
      • 風力発電の開発・事業参画(秋田県北部洋上、秋田港・能代港洋上)
      中国
      電力
      2030年度までに30~70万kWの新規導入
      • 水力発電のリパワリング(滝山川発電所)
      • 石炭・バイオマス混焼(三隅発電所2号機)
      • 風力発電事業への参画(台湾:雲林洋上風力)
      四国
      電力
      2030年度までに国内外で50万kWの開発を目指す
      • 水力発電の新規開発(黒藤川発電所)
      • 太陽光発電の開発・事業参画(チリ:ウアタコンド太陽光)
      • 風力発電事業への参画(台湾:雲林洋上風力)
      九州
      電力
      2030年に国内外で再エネ開発量500万kWを目指す
      • 水力発電のリパワリング(塚原発電所、杉安発電所、新竹田発電所)
      • 地熱発電所の更新・開発(九州域内5地点、福島県猿倉嶽)
      • 風力発電の開発・事業参画(響灘洋上、由利本荘市洋上)
      沖縄
      電力
      2030年度までに10万kWの新規開発
      • PV-TPO事業(太陽光第三者所有モデル)の導入・拡大
      • 風力発電の開発
      • 地域マイクログリッドの実証(宮古島市来間島)
      電源
      開発
      2025年度までに150万kW以上の新規開発(2017年度比)
      • 水力発電のリパワリング(長山発電所、尾上郷発電所)
      • 風力発電の開発・事業参画(響灘洋上、上ノ国第二風力)
      • 地熱発電所の更新・開発(鬼首地熱発電所、安比地熱発電所)
  • 02

    原子力

    確立した脱炭素電源の最大限の活用

    背景となる課題認識

    2050年カーボンニュートラル実現のためには「実用段階にある脱炭素化の選択肢」である原子力発電を、一定規模、継続的に活用していくことが必要ですが、いまだ社会の皆さまからの信頼回復の途上です。
    足下の再稼働を進めるにあたっても、将来の見通しに不安を抱える立地地域の皆さまにご安心いただくことが重要だと考えています。また、安全かつ安定した稼働には産業基盤維持、原子燃料サイクル・バックエンドの確立・推進が必要となります。
    そのためには、継続的な原子力発電の活用に向けたリプレース・新増設といった将来的なビジョンが早期に必要です。

    取り組みの方向性

    確立した脱炭素電源である原子力発電について、今後も自主的に安全性向上を追求し続けるとともに、早期再稼働を果たし、安全性を高めた既設炉の安全かつ安定した稼働、最大限の活用、次世代軽水炉・SMR等を視野に入れたリプレース・新増設による将来にわたる持続的な活用に取り組んでいきます。

    取り組みに必要な条件・政策

    • 早期再稼働のため、事業者と規制当局各々による適合性審査の効率化
    • 既設炉の最大限活用のため、規制当局の見解も踏まえた運転期間制度の見直し
    • 持続的活用のため、リプレース・新増設を含む中長期的な政策の明確な位置付け・制度措置

    アクションプラン/ロードマップ

    原子力 安全性向上
    • リスク情報の活用・産業界との連携も含めた、自主的安全性向上活動の継続
    • 丁寧な対話活動・情報発信等の理解活動の継続
    早期再稼働
    • 上記を含めた、各事業者の取り組みによる早期再稼働の実現
    • 新たに設置した「再稼働加速タスクフォース」を通じた事業者間の人的・技術的支援強化等による早期再稼働の実現
    既設炉の
    最大限の活用
    • 長期サイクル運転の導入、定期検査期間の短縮等による稼働率の向上
    • 既設炉の長期運転に向けた大型機器取替、特別点検、研究開発等の高経年化対応の継続
    リプレース・
    新増設
    • 安全性・経済性を高めた次世代炉等の導入に向けた、開発動向の把握、国の研究開発への協力等の取り組みの推進
    • 安全性・経済性に優れた、次世代軽水炉、SMR等の活用を視野に入れたリプレース・新増設の実現
    • 水素製造等への原子力エネルギーの新たな活用に向けた検討の推進
    サイクル・バックエンドの
    確立・推進
    • 原子燃料サイクルの早期確立に向けた取り組みの継続(日本原燃支援など)
    • 円滑な廃炉に向けた取り組みの継続(クリアランス物の再利用実現など)
    • バックエンド確立に向けた取り組みの継続(最終処分実現に向けた理解活動など)

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    • ロードマップは、 S+3Eの同時達成が満たされることが前提であり 国の温暖化対策・エネルギー政策や技術開発の進捗状況に応じて適宜見直します
  • 03

    水素・アンモニア発電
    /化石+CCUS

    イノベーションが必要な
    脱炭素電源の社会実装

    背景となる課題認識

    太陽光・風力の発電量は常に変化するため、火力発電によってそのしわ取り(需要と供給のバランス調整)をし、安定供給を維持する必要があります。そのため、その変動量と同規模の発電容量(kW)を調整力として維持することが不可欠です。
    再エネ電源が増加すると、電力系統全体の慣性力および同期化力が減少し、電源脱落時等の周波数変動により安定供給に支障をきたすおそれがあるため、火力発電の脱炭素化がカーボンニュートラルに向けた大きな課題となっています。
    火力発電の脱炭素化には、水素・アンモニア発電やCCUS/カーボンリサイクルといった複数の可能性があり、商用化に向けて、いずれも革新的技術を生み出すことが必要です。

    取り組みの方向性

    火力発電の脱炭素化実現のため、水素・アンモニア発電やCCUS/カーボンリサイクルといったイノベーションの創造やその実装に向け、特定の技術に決め打ちをせず幅広く取り組んでいきます。
    水素・アンモニア発電の社会実装のためには、サプライチェーンの確立が前提であり、これに関わる技術開発を併せて推進すべく、国・メーカー・他産業と連携し課題解決に取り組んでいきます。
    CCUS/カーボンリサイクルについては、CO2の輸送・貯留インフラ等の環境が整備されることを前提に、CO2の分離・回収とカーボンリサイクルの技術開発・実証における課題解決に取り組んでいきます。

    取り組みに必要な条件・政策

    • 水素・アンモニア生産国との関係性強化・国際水素市場確立の主導
    • 水素・アンモニアの利用における規制等の国際標準化の推進とパブリックアクセプタンスの獲得支援
    • CO2の輸送・貯留インフラ整備、および関係する法(特に、CO2の貯留に関する法)の整備

    アクションプラン/ロードマップ

    水素・
    アンモニア発電
    サプライ
    チェーン
    • 生産・輸送他、サプライチェーンに関わる技術開発や実証、導入、商用化の推進
    貯蔵・発電
    • 貯蔵・発電における技術開発・実証・導入・商用化の推進
    CCUS 分離・回収
    • 分離回収技術の技術開発や実証(メーカーや国と連携)、導入、商用化の推進
      (輸送・貯留インフラが整備されることを条件とする)
    カーボン
    リサイクル
    • 将来の実用化・商用化に向けて、関連する技術開発、実証の推進
      (コンクリート製品、藻類バイオ燃料 等)
    共通
    • 法的支援・整備等に関した国への提言
    • パブリックアクセプタンス獲得に向けた理解活動の推進

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    • ロードマップは、 S+3Eの同時達成が満たされることが前提であり 国の温暖化対策・エネルギー政策や技術開発の進捗状況に応じて適宜見直します
  • 04

    需要側への
    電化の推進

    背景となる課題認識

    カーボンニュートラルの実現には、電力供給部門の脱炭素化だけではなく、産業、運輸、業務・家庭などあらゆる部門の最大限の電化を図る必要があります。
    また、技術的に電化が困難な分野への水素等の脱炭素エネルギーの供給や利用促進も必要です。
    水素はカーボンニュートラル実現に向けた有望なエネルギーの一つですが、技術面・コスト面・安全性に対する一般の受容性など、多くの課題が残っています。

    取り組みの方向性

    需要側の理解促進、メーカー等による技術開発、国等による政策的支援等、これらが一丸となって取り組むことが必要であるため、更なる創意工夫によりサービス等を拡充し、最大限の電化の推進に取り組んでいきます。

    取り組みに必要な条件・政策

    • 電化機器普及・技術開発等への補助拡充
    • ロックイン(需要家の設備は一度導入された種類の熱源設備が更新時も使われ続けてしまうこと)を回避するためのエネルギー選択(電化)への誘導政策

    アクションプラン/ロードマップ

    • 電力による様々なサービスの提供
    • お客さまによる電化選択の理解促進、意識改革への働きかけ
    • メーカーによる技術開発・技術革新に向けた協働
    • 国や自治体の政策による電化選択の下支えの訴求

    ⇒これら「電化」に向けた国・自治体、メーカー、電力一丸となった取り組み

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    • ロードマップは、 S+3Eの同時達成が満たされることが前提であり 国の温暖化対策・エネルギー政策や技術開発の進捗状況に応じて適宜見直します

    水素による
    間接的な電化

    取り組みの方向性

    水電解装置により電気エネルギーを用いて水から変換された水素を、電化が困難な産業や運輸等に利用するという間接的な電化は、カーボンニュートラル実現に貢献できる可能性があります。電気エネルギーの新たな活用方法として、水電解装置による水素供給と水素の利用促進を目指し、社会実装に向け取り組んでいきます。

    取り組みに必要な条件・政策

    導入拡大時に他燃料よりも高額となるため、投資予見性を持てる仕組みや制度の構築が必要です。

    アクションプラン/ロードマップ

    • 水電解装置の活用方法の検討
    • 水電解装置による水素製造の大規模化や水素コスト低減に向けた技術開発、実証、導入、商用化の推進
    • 技術的に電化が困難な産業や運輸部門等での水素利用促進に向けた取り組みの推進
    • パブリックアクセプタンス獲得に向けた理解活動の推進
    • 水素の利用拡大に向けた法的支援・整備等に関した国への提言

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    • ロードマップは、 S+3Eの同時達成が満たされることが前提であり 国の温暖化対策・エネルギー政策や技術開発の進捗状況に応じて適宜見直します