日本では、電力の安定供給や温室効果ガスの削減等に向けて、安全を最優先に原子力発電を最大限活用する方針です。また、発電で使用した燃料は再利用することとしており、再利用できない部分は適切に処分する必要があります。この処分について、将来世代に負担を先送りしないためにも、一緒に考えてみませんか?
(2026年5月29日時点)
原子力発電で使用した燃料(使用済燃料)は再処理することで、もう一度原子力発電の燃料としてリサイクルできます。使用済燃料の約95%は再利用が可能ですが、再利用できない残りの約5%はガラスと融かし合わせて、キャニスターと呼ばれるステンレス製容器に注入して、冷やして固めます。この固体化したものは、「核のごみ」と呼ばれることもありますが、正確には「高レベル放射性廃棄物」や「ガラス固化体」と言います。
高レベル放射性廃棄物の処分については、原子力発電が稼働する前から、さまざまな処分方法が検討された結果、「地層処分」することが世界共通の認識となっています。
日本では既に、ガラス固化体に換算して約28,000本に相当する使用済燃料が発生しており、この処分は将来世代に負担を先送りしないよう、我々の世代で必ず解決しなければならない重要な課題です。
高レベル放射性廃棄物は30〜50年間冷却した後、地下300m以上の深い安定した岩盤に地層処分します。「天然バリア」である地層と「人工バリア」であるガラス固化体や金属、粘土を組み合わせた「多重バリアシステム」により、数万年以上にわたって放射性物質を私たちの生活環境から隔離することができます。
高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けては、国が前面に立ち、原子力発電環境整備機構(NUMO)が実施主体として取り組みを進めています。また、高レベル放射性廃棄物の発生者としての基本的な責任を有する原子力事業者も、国やNUMOと連携し、全国のできるだけ多くの皆さまのご関心やご理解が深まるよう取り組んでいます。
高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の発生
| 段階 | 施設・項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 原子力発電所 | 原子力発電所 | — |
| 貯蔵施設 | — | |
| 中間貯蔵施設 | — | |
| 使用済燃料 | 再処理へ | |
| 再処理 | 再処理工場 | — |
| ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物) | 貯蔵・管理へ | |
| 貯蔵・管理 | ガラス固化体貯蔵施設 | 既に国内に存在するガラス固化体 約2,500本(2025年12月時点) 各発電所などに貯蔵している使用済燃料(約20,000トン)をすべて再処理すると合計 約28,000本相当(2025年12月時点) |
| ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物) | 最終処分へ | |
| 最終処分 | 地層処分施設※ | ガラス固化体 40,000本以上 埋設する計画 |
※日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究施設から発生したガラス固化体、及び上記の再処理等から発生するTRU廃棄物のうち放射能レベルが一定以上のもの(地層処分相当TRU廃棄物)も、同様に地層処分の対象となります。
出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」
地層処分の仕組み(多重バリアシステム)
| 区分 | 構成要素 | 寸法・特徴 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 人工バリア | ガラス固化体 | 直径:約40cm、高さ:約130cm、重量:約500kg | ・放射性物質をガラスと一緒に固める ・水にとけにくい |
| オーバーパック(金属製容器) | 厚さ:約20cm | ・ガラス固化体と地下水の接触を防止 | |
| 緩衝材(粘土) | 厚さ:約70cm | ・水を容易に通さない ・放射性物質を吸着し、移動を遅らせる |
|
| 天然バリア | 岩盤 | — | ・酸素が少ないため物質が変化しにくい ・地下水の流れが遅い |
| 地下深さ | 300m以上 | ・人間の生活環境から隔離する |
出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」
地上で保管し続ける場合、自然災害(地震等)や人間の行為(戦争等)の影響を受けるリスクなど、将来世代の管理負担が生じます。ガラス固化体の放射能の低減まで数万年以上にわたり、将来世代に地上での保管の負担を負わせ続けることは、現実的ではありません。
これまでに、最終処分の方法として宇宙処分や海洋投棄、氷床処分などのさまざまな方法が検討されてきましたが、地層処分は、国際社会から現時点で最も安全で実現可能な処分方法とされています。
処分場の選定は「国からの申し入れ」や「自治体からの応募」を受けて、「文献調査」、「概要調査(ボーリング調査等)」、「精密調査(地下施設での調査・試験)」のそれぞれの調査を経て行われます。
処分地選定プロセス20年程度の調査期間中、放射性廃棄物は一切持ち込まない
| 段階 | 期間 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| — | — | 市町村から応募、又は、国の申入を市町村が受諾 | — |
| 文献調査 | 2年程度 | 机上調査 | 地域の意見を聴く(意見に反して先へ進まない)。調査結果× 又は 御意見× → プロセス終了 |
| 概要調査 | 4年程度 | ボーリング調査等(地区選定) | 地域の意見を聴く(意見に反して先へ進まない)。調査結果× 又は 御意見× → プロセス終了 |
| 精密調査 | 14年程度 | 地下施設での調査・試験(地区選定) | 地域の意見を聴く(意見に反して先へ進まない)。調査結果× 又は 御意見× → プロセス終了 |
| — | — | 施設建設地の選定 | — |
出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」
日本では、2020年11月から北海道の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)において、また、2024年6月からは、佐賀県玄海町において、2026年5月からは、東京都小笠原村南鳥島において、最終処分場の選定に向けた調査の最初のステップとなる文献調査が開始されました。
文献調査は、その地域の地質図などの文献・データや学術論文などを収集し、地層処分に関心を示していただけた地域の皆さまに事業を深く知っていただくとともに、次の調査に当たる概要調査を実施するかどうかを検討していただくための材料を集める事前調査的な位置づけの調査です。
現在、文献調査の実施地域は4カ所となっていますが、少しでもより良い地質条件を有する処分地を選定するため、できるだけ多くの地域で調査を行う必要があります。
北海道の寿都町、神恵内村の文献調査については、2024年2月にNUMOが調査結果を取りまとめた報告書の原案を国の審議会に提出し、概要調査の候補となるエリアが示されました。その後、同審議会で議論され、8月に報告書案の審議が終了し、了承されました。
その後、2024年11月に文献調査報告書が町村長および知事に提出され、報告書の縦覧・説明会および報告書に関する意見の受付が行われました。2025年4月に文献調査の報告書等に関する意見募集が終了し、集まった意見の概要とそれに対するNUMOの見解を整理している段階です。
佐賀県玄海町の文献調査については、文献・データの収集と情報の抽出・整理が概ね終了し、その情報の読み解きと評価が進められています。
文献調査の流れ※知事及び市町村長の意見を十分に尊重することとしており、その意見に反して先へ進みません。
| No. | 工程 |
|---|---|
| 1 | 文献調査の開始 |
| 2 | 文献・データ収集 |
| 3 | 評価 |
| 4 | 報告書作成 |
| 5 | 報告書を知事・市町村長に送付 |
| 6 | 公告・縦覧の開始 |
| 7 | 報告書に関する意見の受付・説明会の実施 |
| 8 | 報告書に関する意見の概要とそれに対する見解を知事・市町村長に送付 |
| 9 | 報告書に関する意見に配慮して概要調査地区の候補を選定 |
| 10 | 実施計画の変更承認を経産大臣に申請 |
| 11 | 経産大臣から知事・市町村長に意見聴取 |
| 12 | 聴取結果を踏まえて経産大臣が概要調査に進むかどうかの判断 |
出典:NUMO「シン・ちか通信 Vol.9」
▼ 詳しくはこちら
NUMO HP「調査の状況と対話の記録」
文献調査を実施した地域がそのまま立地選定されるのではなく、調査の各段階で、知事および市町村長の同意が得られない場合、次の段階に進むことはありません。なお、将来の方々がその方法を常に見直せるように、可逆性※1・回収可能性※2が適切に担保されます。
1 可逆性:処分場を閉鎖するまでの間、処分プロセスを元に戻す、あるいは検討し直せること。
2 回収可能性:処分場を閉鎖するまでの間、高レベル放射性廃棄物を搬出できる可能性を確保すること。
複数の地点で調査を行い、その中から地層処分に最も適した地点を検討し、選んでいくことが重要です。
また、調査対象地域を拡大することで、全国の多くの皆さまに最終処分事業について理解を深めていただきたいと考えております。
地層処分の取り組みは、日本だけではなく、原子力発電を利用する世界各国で進められています。既に処分地が決定している国から、どのように地層処分を行うか検討している国まで様々ですが、地層処分の実現という課題は共通であり、各国は協調しながら最大限の努力をしています。
一例として、処分場の建設を開始しているフィンランドにおいては、地層処分の実施を決めてから30年以上の歳月をかけて、国民理解・地域理解に弛まぬ努力を重ねており、2024年8月には安全性確認のための試験操業が開始されました。
なお、諸外国でも、多くの地域から絞り込んで、少しでもより良い地質条件を有する処分地を選定しています。
▼ 詳しくはこちら
NUMO「フィンランドの最終処分場立地自治体・エウラヨキ町長と当機構理事長との対談」
最終処分の実現は原子力利用国の共通課題
諸外国の状況
| 段階 | 国・地域 | 備考 |
|---|---|---|
| 調査段階前 | ベルギー、韓国、スペイン | — |
| 文献調査 | 日本、ドイツ | — |
| 概要調査(ボーリング調査等) | 英国 | — |
| 精密調査 地下調査施設による調査 | 中国(甘粛省北山) | — |
| 処分地選定済 | スイス(北部レゲレン) | ※概要承認申請中 |
| 処分地選定済 | 米国(ユッカマウンテン) | ※許認可手続き中断中 |
| 処分地選定済 | カナダ(WLON-イグナス エリア) | ※サイト準備許可申請前 |
| 処分地選定済 | フランス(ビュール近傍) | ※審査中 |
| 建設 | スウェーデン(フォルスマルク) | — |
| 建設 | フィンランド(オルキルオト) | ※試験操業中 |
注)フィンランド・スウェーデン・カナダ・スイスは、地下調査施設での精密調査前に処分地が決定
処分地選定までの経過
| 国 | 段階 | 候補地数 |
|---|---|---|
| フィンランド | 概要調査相当 | 6件 |
| 精密調査相当 | 4件 | |
| 処分地選定 | 1件 | |
| スウェーデン | 文献調査相当 | 8件 |
| 概要・精密調査相当 | 2件 | |
| 処分地選定 | 1件 | |
| フランス | 文献・概要調査相当 | 10件 |
| 精密調査相当 | 1件 | |
| 処分地選定 | 1件 |
出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」

フィンランド・オルキルオトで建設中の最終処分場
(2020年代に操業開始予定)
Photo Posiva Oy

オルキルオトの最終処分施設のイメージ図
Photo Posiva Oy
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