特設サイト 能登半島地震による
各原子力発電所への影響について

このたびの地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
今回の能登半島地震による周辺地域に立地している各原子力発電所へのこれまでに判明している影響について、以下のとおり、とりまとめましたのでお知らせいたします。

なお、本サイトは北陸電力へのヒアリングをもとに作成しています。

(2024年1月11日時点)

令和6年能登半島地震により最大震度7(志賀町)を記録しましたが、原子力発電所の安全性は維持されています。

志賀原子力発電所

・ 志賀1号原子炉建屋地下2階で最大値399ガルを観測した。
原子力発電所の耐震性について

参考

・ 設計上は600ガル。

・ 1,000ガルにて志賀2号の新規制基準適合性審査中。

・ 志賀1号は、変圧器の故障により、外部電源5回線のうち、志賀中能登線(500kV)2回線が使用できなくなったが、志賀原子力線(275kV)2回線は、志賀2号の所内電源系統からの融通により確保している。また、赤住線(66kV)1回線を確保している。(計3回線使用可能)

参考

・ 非常用ディーゼル発電機は3台待機。

・ バックアップとして電源車(計7台)を確保。

・ 志賀1号起動変圧器から絶縁油の油漏れがあることを確認した。

・ 地震発生時に当該変圧器の放圧板の動作を確認した。

・ 絶縁油は堰内に収まっており、外部への影響がないことを確認した。

・ 火災の発生は確認されていない。

参考

・ 漏えいした油のドラム缶への回収が完了。

・ 最終的な回収量は4,200 リットル(雨水及び噴霧消火の水を含む)。

・ 志賀1号主変圧器及び所内変圧器の放圧板の動作を確認した。

・ 志賀2号は、変圧器の故障により、外部電源5回線のうち、志賀中能登線(500kV)2回線が使用できなくなったが、志賀原子力線(275kV)2回線および赤住線(66kV) 1回線を確保している。(計3回線使用可能)

参考

・ 非常用ディーゼル発電機は2台(A)(B)が待機、1台(C)が点検中。

・ バックアップとして電源車(計7台)を確保。

・ 志賀2号主変圧器から絶縁油が漏れていることを確認した。

・ 自動的に予備電源変圧器へ切り替わった。

・ 噴霧消火設備が起動及び放圧板の動作を確認した。

・ 1月7日に発電所前面の海面上に油膜が確認されたが、中和・回収等を行った。1月10日に新たに発電所前面約100m×30mの海域に油膜を確認したため、海岸部にオイルフェンスを設置した。

・ 火災の発生は確認されていない。

参考

・ 漏えいした油はドラム缶への回収を完了。

・ 最終的な回収量は24,600 リットル (雨水及び噴霧消火の水を含む)。

・ 1月10日に新たに確認された油膜(推定約6リットル)は、1月1日の地震時に飛散した2号主変圧器の絶縁油に由来する可能性があると考えているが詳細は確認中。

・ 志賀1号原子炉建屋4階において、地震に伴い使用済燃料貯蔵プール水の床面への飛散が発生した。

・ 飛散した量はわずかであり、使用済燃料貯蔵プール(保有水量1,250m3)は、わずかに水位低下したが、使用済燃料の冷却機能に影響はなかった。

参考

・ 飛散したプール水のふき取りは完了。
飛散した量:約95 リットル
放射能量:約17,100Bq

・ 飛散したプール水量はプール水位低下0.8㎜相当

・ 志賀1号燃料プール冷却浄化系ポンプが、地震に伴い一時的に停止した。

参考

・ 速やかに(約40分で)復旧し、プール水温は29.5℃で変化はなかった。

・ 志賀2号原子炉建屋5階において、使用済燃料貯蔵プール水の床面への飛散が発生した。

・ 飛散した量はわずかであり、使用済燃料貯蔵プール(保有水量2,310m3)は、わずかに水位低下したが、使用済燃料の冷却機能に影響はなかった。

参考

・ 飛散したプール水のふき取りは完了。
飛散した量:約326 リットル
放射能量:約4,600Bq

・ 飛散したプール水量はプール水位低下1.3㎜相当

・ 志賀1号タービン補機冷却水系サージタンクの水位低下を確認した。

・ 原子炉建屋、タービン建屋の換気空調系の冷却コイルから冷却水が漏洩していることを確認し、弁等を閉止することにより漏えいは停止した。

・ 物揚場のコンクリート舗装部において、地震の影響により段差が発生していることを確認した。

・ 放水槽の周囲(全周約108m)に津波対策として設置した鋼製の防潮壁(高さ4m)の南側壁が、地震の影響により数cm 程度傾いていることを確認した。

・ 傾きが確認された南側の壁以外の壁は健全であり、倒壊する恐れはない。

・ 高圧電源車のアクセスルートに3箇所段差の発生を確認した。

・ 通行に支障ないことを確認した。

・ 1号機廃棄物処理建屋と2号機廃棄物処理建屋を接続するゴム製のシール部材(エキスパンション)を覆う金属製のカバーが脱落していることを確認した。

・ ジョイントカバーが外れているだけであり、シール部材自体に損傷がないことから、外部への放射能等の影響はない。

・ 志賀1号純水タンクにおいて、7.3 リットル(分程度(438 リットル(時)の水位の低下があることを確認した。

・ 漏えい量は純水の製造能力(20,000 リットル(時)に比べてわずかであることから、発電所の冷却機能には影響はない。

・ 使用済燃料貯蔵プールの補給等には他のタンクの水を使用しており、使用済燃料貯蔵プールの冷却機能に影響はない。

・ 志賀2号低圧タービンにおける「伸び差大」警報が発生した。

参考

・ タービン停止中に発生した警報。

・ 地震による揺れにより、「伸び差大」の警報が発生したものと想定。

・ 志賀2号使用済燃料貯蔵プール内に保管してあった原子炉冷却材再循環ポンプの検査装置の一部が使用済燃料貯蔵プールの底部に落下していることを確認。

・ いずれも燃料から離れた位置(約4m)に落下していることから、燃料貯蔵プール内の使用済燃料に影響はなく、冷却機能にも影響はない。

・ 志賀2号励磁電源変圧器※の絶縁油が約100 リットル(推定)漏れていることを確認した。

・ 絶縁油は堰内に収まっており、外部への影響はない。
※ 発電に必要な磁束を発生させる発電機のコイル(励磁装置)に電源を供給するための変圧器

・ 地震発生後の発電所データを改めて確認したところ、取水槽内及び物揚場付近の海水面が通常より約3メートル上昇していたことを確認した。

・ 発電所の敷地高さ11メートル(海抜)の地点に高さ4メートルの防潮堤・防潮壁(合計15メートル)を設置しており、発電所の設備への影響はなかった。

その他の発電所

・ 基準地震動に対して十分に小さい地震動であり、設備影響はなかった。

参考

・ 柏崎刈羽原子力発電所で最大値87ガルを観測
(設計上は1~4号は2,300ガル、5~7号は1,209ガル)

・ 敦賀発電所で10ガルを観測
(設計上は800ガル。1,011ガルにて新規制基準審査中。)

・ 美浜発電所で12ガルを観測(設計上は993ガル)

・ 大飯発電所で最大6ガルを観測(設計上は856ガル)

・ 高浜発電所で最大4ガルを観測(設計上は700ガル)

・ 柏崎刈羽2、3、4、6、7号機で地震に伴い使用済燃料貯蔵プール水の床面への飛散が発生した。

・ 飛散した量はわずかであり、使用済燃料貯蔵プールの水位低下はなかった。

原子力発電所の
耐震性について

・ 原子力発電所は、地盤を掘り下げて十分な支持性能を持った揺れにくい強固な岩盤に建設するとともに、各発電所で策定した基準地震動により、適切な地震力にて施設の耐震設計を行っております。

・ ハウスメーカー等の耐震性の値(約5,000ガル等)やK-NETの観測値(石川県志賀町富来2,828ガル)と、志賀原子力発電所で確認された地震記録(原子炉建屋地下2階 399.3ガル)を単純に比較することはできません。
原子力発電所が設置されている固い岩盤に対して、一般住宅や、K-NETの強震計が設置されている通常の地盤では、地震による揺れが大きく増幅されているためです。

・ なお、過去の地震では、平成28年4月に大きな揺れが観測された熊本地震では、熊本県益城町では、4月14日の前震(マグニチュード6.5)において、地盤地表で観測された揺れの強さは1,580ガルでしたが、地下の固い岩盤の中では最大で237ガルでした。

参考

<東北地方太平洋沖地震での女川原子力発電所>
⇒地震での最大加速度(宮城県築館:震央距離175km)2,933ガル
⇒女川原子力発電所での観測記録(女川1号機原子炉建屋地下2階)(震央距離:124km)567.5ガル

<中越沖地震での柏崎刈羽原子力発電所>・・・軟岩サイト
⇒中越沖地震での最大加速度(柏崎市内)1,018ガル
⇒柏崎刈羽原子力発電所での観測記録(原子炉建屋基礎)680ガル

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

ご質問にお答えします

能登半島地震により「志賀原子力発電所が外部電源の一部を失っている」との情報があるので不安です。

志賀原子力発電所の2号機主変圧器が使用できないことや、外部電源の供給元である中能登変電所のガス絶縁開閉装置(GIS)に一部損傷があることから、志賀原子力発電所への外部電源5回線のうち2回線(志賀中能登線2回線)が使用できない状態にありますが、3回線(志賀原子力線1号線、志賀原子力線2号線、赤住線)が使用可能です(2024年1月11日現在)。
また、非常用の電源として、非常用ディーゼル発電機、大容量電源車及び高圧電源車が利用できる状態で確保されており、使用済燃料の冷却等の原子力発電所の安全性は維持することができます。

能登半島地震により「志賀原子力発電所で火災が発生した」との情報があるので不安です。

今回の地震による火災は発生していません。

能登半島地震により「志賀原子力発電所に高さ約3mの津波が襲来した」との情報があるので不安です。

発電所の前面海域(防波堤と物揚場の間)の海底に設置していた波高計のデータを分析した結果,約3m上昇と約1.3m下降していたことを確認しております。
発電所の敷地は標高11mにあり、さらに高さ4mの防潮堤、防潮壁を構築(標高15m)していることから、施設への影響はありません。また、補機冷却水の取水ポンプの吸込口は標高-6.2mにあることから、施設への影響はありません。

能登半島地震により「志賀原子力発電所内の防潮壁が傾いて沈下している」との情報があるので不安です。

1号機放水槽の周囲に津波対策として自主的に設置した鋼製の防潮壁(高さ4m)の南側壁に地震の影響により数cm程度傾きが確認されましたが、防潮壁本体の一部の傾きを除き異常はありません。また、沈下部分に生じた数cmの隙間については仮復旧を完了していることから、現時点で機能に影響はありません。

能登半島地震により「志賀原子力発電所の使用済燃料貯蔵プールから放射性物質を含む水が飛散した」との情報があるので不安です。

1号機、2号機の使用済燃料貯蔵プール水が波打ち現象(スロッシング)により床面に飛散しましたが、プールの保有水量に対して微量であり使用済燃料の冷却機能への影響はなく、また発電所外部には漏えいしておりません。
なお、飛散水についてはふき取り済みです。

(参考)飛散量
・1号機(保有水量1,250m3);約 95リットル(プール水位低下量 0.8mm相当)、放射能量 約17,100 Bq
・2号機(保有水量2,310m3);約 326リットル(プール水位低下量 1.3mm相当)、放射能量 約4,600Bq

能登半島地震により「志賀原子力発電所の使用済燃料貯蔵プール冷却ポンプが一時停止した」との情報があるので不安です。

志賀1号機の燃料プール冷却浄化系ポンプが一時的に停止しましたが、速やかに(約40分)復旧しており、プール水温(29.5℃)に変化はありません。

能登半島地震により「志賀原子力発電所周辺地域のモニタリングポストが故障した」との情報があるので不安です。

原子力規制委員会の公表資料では、志賀原子力発電所周辺のモニタリングポスト116局のうち、一時的に18局が欠測しましたが、順次復旧しているとのことです。
なお北陸電力が所有する志賀原子力発電所敷地内のモニタリングポスト(7局)は、地震発生前後を通じ正常に測定しており、異常は確認されておりません。

能登半島地震により、多くの問題が発生しているにも関わらず「志賀原子力発電所の安全性に異常はない」という説明は不安です。

志賀原子力発電所は、今回の能登半島地震を受けても、外部電源や必要な監視設備、冷却設備および非常用電源などの機能を確保しております。
また、発電所に設置しているモニタリングポストの数値にも変化はなく、外部への放射能の影響はないことから、「志賀原子力発電所の安全性に異常はない」と考えております。

仮に志賀原子力発電所運転中に、能登半島地震と同規模の地震が発生した場合どうなるのですか。

原子力発電所では、運転中の状態を含め、大規模な地震(基準地震動)が発生したとしても、安全機能(「止める」・「冷やす」・「閉じ込める」)を満足できる設計としております。
なお、福島第一原子力発電所の事故後には、自主的に実施した緊急安全対策に加え、新たな規制基準を踏まえ、地震・津波対策の強化や電源及び冷却設備等の多重化等、様々な追加対策を行っており、万が一、運転中に今回と同程度の地震が発生したとしても、発電所の安全性は確保されます。

「原子力発電所の耐震性が一般住宅よりも低い」との情報があるので不安です。

原子力発電所は、地盤を掘り下げて、揺れにくい強固な岩盤に建設されております。また、各原子力発電所で策定しております基準地震動により、適切な地震力を計算して施設の耐震設計を行っています。
一般住宅が建設される通常の地盤では、地震による揺れが大きく増幅されているため、ハウスメーカーなどの耐震性の値(約5,000ガルなど)やK-NET(※)の観測値(石川県志賀町富来2,828ガル)と、志賀原子力発電所で確認された地震記録(原子炉建屋地下2階 399.3ガル)を単純に比較することはできません。
※K-NET:Kyoshin Network(全国強震観測網)

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