緊急時の対応力高める訓練 東京電力 柏崎刈羽原子力発電所

vol.17

国内の原子力発電所では、福島第一原子力発電所の事故を教訓に、より一層の安全性向上に取り組んでいます。特に、地震や津波に対する備えの強化、重大事故(設計時の想定を大幅に超える事象)への対策強化は重要な柱です。

東京電力 柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市・刈羽村)では、重大事故が発生した場合にも、原子炉の冷却を確実に継続できるよう、複数の電源と注水手段を設けました。構内の高台には、その一部である、空冷式のガスタービン発電機車、電源車、消防車、熱交換器車などが並びます。また、東日本大震災では津波による瓦礫などが道路をふさぎ、作業の妨げとなった経験から、障害物を除去するホイールローダーなども備えました。

東京電力 柏崎刈羽原子力発電所

東京電力 柏崎刈羽原子力発電所

構内の高台に配備された空冷式ガスタービン発電機車。燃料の軽油も常備。

構内の高台に配備された空冷式ガスタービン発電機車。
燃料の軽油も常備。

同発電所ではこれらの車両を用いて事故収束にあたる所員の体制を見直すとともに、事故時に安全かつ迅速に作業できるよう、定期的に訓練を重ねています。また、様々な重大事故を想定し、「総合訓練」を行っています。この訓練では、「緊急時対策室」に所員が集まって緊急時の対応体制を組み、緊密な連携のもと、事態の進展に即して適切な対応がとれるかを確認します。

時には、夜間の事故や複数プラントの同時事故など厳しい条件を課したり、実際の事故対応を想定して訓練シナリオを参加者にはいっさい知らせずに行うなど、様々な条件で訓練を繰り返し、緊急時の対応力のさらなる向上に努めています。

【障害物の除去訓練の様子】

道路を塞ぐがれきを模したタイヤと丸太
ホイールローダーを用いて道路幅(約3メートル)を確保する訓練

訓練場には道路を塞ぐがれきを模擬して、 約10個のタイヤと丸太が並ぶ。ホイールローダーを用いて一つ一つ脇に押し出し、迅速に車両が通れる道路幅(約3メートル)を確保する訓練を繰り返す。タイヤの中にはコンクリートをつめて、重量を増し、より実際に近い状況をつくる工夫も。

長いアームのユンボ

建屋の壁や扉の近傍においては、バックホウを用いて瓦礫を除去する。現場の状況に応じて使い分けられるように、両方の操作をマスターする。

【消防車を用いた注水訓練の様子】

取水源からより離れたところでの注水活動を想定し、2台の消防車をホースで連結して放水する。4人で1チーム。声をかけあい、互いの動作を確認しながら機敏に動く。

水圧を徐々に上げて、より遠くへと放水する。繰り返しの訓練で、放水口を安定して支えるコツも磨く。

水圧を徐々に上げて、より遠くへと放水する。繰り返しの訓練で、ホースを安定して支えるコツも磨く。