地層処分技術を検証 日本原子力研究開発機構 幌延(ほろのべ)深地層研究センター

vol.14

調査坑道につながる立坑

高レベル放射性廃棄物の処分方法として、地下深くに埋設する「地層処分」が国際的にも共通した考えです。
海外には原子力発電所で使い終わった使用済の燃料を直接地層に処分する国もありますが、資源の少ない日本では、有効利用の観点から使用済燃料をリサイクルする原子燃料サイクルを採用しており、その再処理の過程で出る高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を、地下300mより深いところに埋設することにしています。

立坑の入口建屋(建物地下に調査坑道がある)

ガラス固化体をオーバーパックと緩衝材で覆った人工バリアのカットモデル(中央の黒い部分がガラス固化体の断面上部で、その周りの銀色の部分がオーバーパック)

ガラス固化体は「人工バリア」である金属製の容器(オーバーパック)や締め固めた粘土(緩衝材)で覆い、さらに「天然バリア」である地層を組み合わせた「多重バリア」を設けることで、数万年以上にわたって私たちの生活環境から隔離することができるのです。
これまでの調査研究により、日本においても長期にわたり安定性を確保できる地層処分に適した場所が広く存在することが分かっています。
日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター(北海道幌延町)では、実際の地質環境での調査研究を行っており、地下深部の地下水や岩盤の性質などに関するデータを蓄積しています。現在、地下350mに設けた坑道では、人工バリア性能が維持されるか、様々な条件での検証も行っています。

地下350mの試験坑道での作業風景

地下350メートルの調査坑道の様子

今後、高レベル放射性廃棄物の最終処分地を選定・調査・建設していく際に、ここで蓄積された豊富な技術やデータが活用されます。