海抜29 メートルの防潮堤へ 東北電力 女川原子力発電所

vol.12

東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖地震。震源地に最も近い原子力発電所が東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)です。
今から3年前の2011年3月11日、地震動を感知した安全装置が設計どおり作動し、原子炉は自動停止しました。
ほどなく未曾有の大津波が幾度も押し寄せ、その最高水位は13mにも達しました。
しかし、同発電所では建設計画段階から津波対策が重要課題であると認識し、敷地高さを海抜14.8mに設計していました。

また、営業運転開始後も様々な地震・津波対策を行ってきました。例えば、2011年10月に竣工した事務新館は、免震構造を採用し、大地震等の被災時に緊急時対応の拠点となる「緊急対策室」の機能が確実に確保できるよう設計しています。その一方で、東日本大震災発生時に使用していた既存の事務本館についても、新館の竣工前に大地震が発生する可能性を考え、万全を期して鉄骨の筋交いを新設するなどの耐震補強を行っていました。


大地震への備えを怠らなかった結果、
東日本大震災時にも安全が確保され緊急時対応の基盤となった


聳え立つ排気筒にも耐震補強を実施済(補強箇所は他にもあります)

このように、幾多の対策の積み重ねの結果、2011年の大地震の際にも、構内の各施設で社員が滞りなく緊急時の対応をとることができ、また、原子炉を冷やし続ける機能も失われることなく、発電所の「安全」が確保されました。

地震後、同発電所では、地盤沈下も考慮に入れ約3mの防潮堤を設置し、海抜約17mの高さとしましたが、更なる安全性の向上を目指すため、地震・津波等をより厳しく想定し、対策の見直しを行いました。その結果、防潮堤は、最終的に海面から高さ29m※までかさ上げされることとなりました。現在、かさ上げのための作業用の杭打ちが進んでいます。

※東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動による影響(敷地が一様に約1m沈下)を考慮

高さ29メートルまでかさ上げする工事が進められている

背景に耐震補強が実施された排気筒を望む

このように、原子力発電所では最新の知見を反映し、たゆまぬ安全確保の取り組みが今日も進められています。