電気事業連合会

放射線とは

トリチウムとは

どこにでも存在するトリチウム

宇宙空間には放射線が飛び交っており、地球にも降り注いでいます。宇宙から降り注いだ放射線が、地球の上空で窒素や酸素と衝突することで、トリチウムが生成されます。このように自然界で生成されるトリチウムは天然のトリチウムと呼ばれ、水蒸気や雨水、海水として、地球上のどこにでも存在しています。
天然のトリチウムは10cm2(手のひらほど)に1秒間に20個程度発生しています。

トリチウムの構造

トリチウム(三重水素)は、陽子1つと中性子2つから構成されます。放射線を放出し、主に酸素と結合し「水」として存在しています。

トリチウムの人体への影響

トリチウムからはβ線が放出されますが、エネルギーは非常に弱く、紙1枚で止まるため、皮膚を通り抜けることができません。つまり外部被ばくによる人体への影響はほとんどありません。
トリチウムは自然界に存在し、飲料水や食べ物にも含まれ、体内に取り込んだとしても、水分として絶えず入れ替わるため、体内に蓄積されません。このため、内部被ばくについても、人体への影響は小さいとされています。

汚染水とトリチウム

汚染水とトリチウム

福島第一原子力発電所の事故により発生した燃料デブリを冷やすための水が、燃料デブリに触れることでトリチウムやストロンチウム、セシウムなどの放射性物質を含んだ汚染水となります。さらに、地下水や雨水が原子炉建屋の中に入り込み、汚染水と混ざり合うことで、新たな汚染水が発生します。

水の分子として存在するトリチウム

汚染水からセシウムとストロンチウムが除去されたストロンチウム処理水は、多核種除去設備(ALPS)でトリチウム以外の放射性物質を国の規制基準を満たすまで取り除きます。トリチウムは水の分子として存在するため、除去できず、ALPS処理水の中に残ります。

ALPS処理水等におけるトリチウム

福島第一原子力発電所では、ALPS処理水等を敷地内のタンクに貯蔵しています。
2022年6月30日現在、約1000基のタンクに、128万m3が貯蔵されていますが、そのうちトリチウム水は、わずか大さじ1杯(15cc)ほどです。

トリチウムの処分

トリチウムの処分

ALPS処理水は、トリチウムを含むすべての放射性物質について、環境放出に関する国の安全基準を満たして海洋放出されます。国際原子力機関(IAEA)からは、人や環境に与える影響は「無視できる水準」と評価されています。

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