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2017.01
原子力災害対応を支援
原子力事業者(電力9社、電源開発、日本原燃、日本原子力発電)は、原子力施設で重大事故が発生した場合に備え、日本原子力発電を実施主体とする緊急事態支援体制を整えています。昨年12月には支援活動の新たな拠点施設として、「美浜原子力緊急事態支援センター(略称:M-NEACE)」を福井県美浜町に開設しました。
本センターには、無線により遠隔操作できる重機・ロボット・ヘリコプターのほか、資機材を運搬するトラックなどを配備。万一、災害が発生した場合には、遠隔操作に習熟した職員18名が「緊急出動隊」として現場に駆けつけ、発災事業者と協力して災害の早期収束に取り組みます。
また、平常時には、本センターの職員が講師となり、各原子力事業者の防災担当者を対象に、重機・ロボット・ヘリコプターの3チーム編成で機材の操作訓練を実施しています。
屋外の訓練フィールドでは、大型の無線重機を使ったガレキの破砕・撤去訓練などが行われています。重機にはカメラが設置されており、現場の放射線量が高い場合には、離れた場所に駐車したコントロール車の操作室から、モニターを使って遠隔操作で作業を行います。さらに、入り組んだ現場でも作業が可能な小型の無線重機も配備しています。
ロボットには、複数のカメラを駆使して発災現場の状況や放射線量などを把握する小型ロボットや、主に屋内の障害物除去を行う中型ロボットがあります。ロボットはモニターを見ながらの遠隔操作となりますが、暗闇での作業や階段の昇り降り、扉の解錠などの細かい操作には相当の技量が必要です。既に530人を超える各原子力事業者の防災担当者が、本センターの前身である原子力緊急事態支援センター(福井県敦賀市)で研修・訓練を受けており、今後も計画的に育成を進めることにしています。
無線ヘリコプターは、8枚羽を持つ大型の機体(最大幅239cm)で、搭載する可視カメラや赤外線カメラ、放射線測定器により、発災現場の状況や設備の温度、放射線量などを離れた場所から安全かつ速やかに把握することができます。さらに、ヘリコプターはGPS(全地球測位システム)による自動航行機能も備えていることから、建物の裏側など操作員が目視できないエリアでも安定した航行が可能です。
私ども原子力事業者は、本センターを緊急事態支援の拠点として活用し、原子力災害時の対応力の一層の向上を図るとともに、引き続き、原子力発電所の安全対策の充実に向けた取り組みを行ってまいります。