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2018.01

防潮堤のかさ上げで津波にも万全の備え ~東北電力 女川原子力発電所~

宮城県の牡鹿半島に位置する東北電力女川原子力発電所。同発電所では、津波に対する備えを強化するため、防潮堤のかさ上げ工事が進められています。防潮堤は総延長約800メートル、高さは海抜29メートルに達し、発電所構内への津波の浸入を防ぎます。
「防潮堤のかさ上げはスケールの大きい重要な工事。土木技術者としての誇りと使命感を持って仕事に取り組んでいます」。発電所土木建築部の古関淳志さんは、安全対策の最前線の様子を説明してくれました。

さらなる安全性向上へ防潮堤のかさ上げ工事が進められている

2011年3月11日の地震発生時、震源地から最も近い原子力発電所である同発電所では、それまでの備えが功を奏し、「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能が有効に働き、安全に冷温停止に至りました。加えて、津波が多い三陸の歴史を踏まえて設定された14.8メートルの敷地高さを津波が乗り越えることはありませんでした。また、震災から約3ヶ月間は、被災された地域の方々の避難所にもなりました。
同発電所は、常に最新の知見を取り入れて、その都度、安全性の確認や必要な対策を講じてきた歴史があります。古関さんは「情報が少ない時代においても、津波に備え、敷地高さを設定した諸先輩の先見性には驚かされます。『常に備える』という先人の意思を受け継ぎ、若い世代に継承していきたい」と、決意を新たにしていました。

また、発電所の工事で発生した掘削残土は、女川町復興事業の盛土材として有効活用されており、古関さんはこうした行政との調整にもあたっています。発電所が立地する石巻市出身ということもあり、「地域への想いを胸に、安全対策工事をやり切ることが地域の復興につながるものと信じています」と話す古関さん。地域とともに歩む発電所づくりを目指して、所員一丸となった取り組みが続けられています。

  • 斜面にモルタルを吹き付けた防火帯

  • 盛土材の供給を通じて女川町の復興にも貢献

女川原子力発電所 全景