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2019.10

環境にやさしい石炭利用を目指して
~大崎クールジェンプロジェクト~

  • 完成したばかりのCO₂分離回収設備

    完成したばかりのCO₂分離回収設備

  • 石炭ガス化複合発電設備

    石炭ガス化複合発電設備

    試運転中のCO₂分離回収設備に異常がないかを点検

    試運転中のCO₂分離回収設備に異常がないかを点検

供給安定性と経済性に優れた石炭を燃料とする石炭火力発電は、電気を安定して低コストで供給できるベースロード電源です。石炭火力では、発電時に排出される二酸化炭素(CO₂)の排出量削減などに向け技術開発が進められています。瀬戸内海の島々からなる広島県の大崎上島町で行われているのが、中国電力とJパワーが折半出資する「大崎クールジェン」による、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)実証事業です。

実証事業は3段階に分かれており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施されています。第1段階は酸素吹石炭ガス化複合発電(IGCC)の実証です。石炭を可燃性のガスにして、ガスタービン発電と、排熱による蒸気タービン発電を行うもので、2019年2月に実証を終え、全ての試験項目で目標を達成することができました。第2段階は、この設備にCO₂分離回収設備を組み合わせた試験を行います。現在は、CO₂分離回収設備の建設を終え、試運転中。本年度中には本格的な実証に入る計画です。

次の第3段階では、さらに燃料電池を組み合わせて効率を高めたCO₂分離・回収型IGFCの実証を行います。こちらは2019年3月に事業に着手しました。実証で得られた成果を活かし、将来的にIGFCが実用化すれば、現在国内で主流の超々臨界圧微粉炭火力(USC)に比べ、発電効率が約15ポイント高まります。その結果、CO₂排出量も約30%削減できます。

このような先端技術を諸外国に採用いただき、世界のCO₂排出量削減に貢献することも、当プロジェクトの意義の一つです。

風光明媚な大崎上島町で進む実証試験

風光明媚な大崎上島町で進む実証試験