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2020.02

緊急時に備え周波数変換設備を増設
~新信濃変電所~

  • 交流・直流の変換を行うサイリスタバルブ

    交流・直流の変換を行うサイリスタバルブ 提供:電気新聞

  • 新信濃変電所構内に新設された直流設備

    新信濃変電所構内に新設された直流設備 提供:電気新聞

    直流送電線の建設も進んでいる

    直流送電線の建設も進んでいる 提供:電気新聞

日本の電気の周波数は、静岡県の富士川を境に東日本が50Hz、西日本が60Hzと異なっています。これは昔、電気をつくるための発電機を、東日本がドイツから、西日本は米国から、それぞれ輸入していたことによるものです。このため、東西の間で電気をやり取りする場合には、周波数を変換する必要があります。
東西の境目には、周波数変換設備(FC)が3カ所あり、そのうちの一つが東京電力パワーグリッド(東電PG)の新信濃変電所(長野県朝日村)に設置されています。

現在、FCでやり取りできる電気の容量は、3カ所合わせて120万kW(うち60万kWが新信濃変電所)です。2011年3月の東日本大震災では、電力が不足した東日本へ西日本から電気が送られましたが、120万kWの上限が制約になりました。この時の経験などを踏まえ、新信濃変電所の構内に、新たに90万kWのFCを増設し、緊急時に備えることになりました。

FCを増設するためには、「サイリスタバルブ」という、交流の電気をいったん直流に変換し、再び交流に戻すための設備を新たに設ける必要があります。そのために、東電PGは中部電力と連携し、岐阜県高山市に新設される飛騨変換所と新信濃変電所を結ぶ約90kmの送電線の建設工事も着実に進めています。

工事が完了し、FCの運用が始まるのは2021年3月の予定。今、本州のほぼ中央に位置する長野県朝日村では、もし大規模な災害が起こっても電気の安定供給を維持するための備えが、着々と整えられています。

新信濃変電所

新信濃変電所 提供:電気新聞